小説 | ナノ
TITLE:ゆめのはなし
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お昼休みにお弁当を食べているとなまえちゃんが来た。馴れた手つきで小さい冷蔵庫を漁って、なんとぼくのプリンを取り出した。
「それぼくの!」
「ちょっとちょうだい」
「やだ」
空のお弁当箱を片付けて、なまえちゃんの手からプリンをとった。なまえちゃんは、あ、と小さな音を出した。
「ケチ」
口を尖らせて言ってもだめ。これ絶対食べたかったんだから。ふたのフィルムをはがしてなまえちゃんの目の前でぱくりと食べた。美味しい
「私もプリン買ってくる」
あれ、今日はいつもより諦めが早い。まあいんだけど。事務室から出ていくなまえちゃんの後ろ姿にいってらっしゃい、と手を振った。
「クダリ!」
食べ終わった頃に今度はノボリが来た。珍しく息を切らして、様子がなんだかヘン。
「なまえが……」
目の前が真っ暗になった。なまえちゃんが……死んだ? うそでしょ。さっきまで一緒にいたんだよ。それなのに、
なまえちゃんは死んだ。死ぬっていうのは、つまり、二度とからだが動かなくなること。喋らないってこと。会えないってこと。
気が付いたら泣いていた。スプーンは床に落としてしまった。こんなことならプリンあげとくんだった。もっと好きっていっとくんだった。
「ぼくノボリ。きみがすき」
言葉は泡になって消えた。
「っていうゆめみた」
「ふーん。私はクレープ食べる夢見たよ」
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