小説 | ナノ

 TITLE:海
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チェレステ様から頂きました

『海っだああぁ!!』
今なら垂直跳びのオリンピックで金メダルとる自信があるっ!!!
「どんだけはしゃいでんだよ;」
隣で金髪ティアラの王子様が呆れる。
いつもは「目が無い」だの「偽物」だの馬鹿にしているが、今は、
『本物の王子様みたいっ!』
「みたい、じゃなくて本物なんだっつの!!!」
今日は本物みたいな王子様に念願の海に連れて来てもらったのです♪
「だからほんもn『ねぇベル、ビーチバレーやろっ!!』
「ったく…『それっ♪』っぶね!!今の それっ♪ ってレベルじゃねぇだろっ!!」
『だって楽しいんだもん!』
だって海なんてテレビでしか見たことなかったんだもん!
ベルはダルそうにボールをとるが、どこか嬉しそうでもある。
「ちゃんと王子の相手しろよ」
しししっと笑ってボールを投げる。


騒ぎまくって疲れたのでパラソルの下でのびていた。
そこで、なまえはふと思い付いた。
「…ベル」
「ぁん?」
気の抜けた返事が返ってくる。
「かき氷食べたいなぁ〜…」
「買ってこい」
高速で返答された。
「かき氷、食べたいなあ」
今度は区切って言ってみた。
「…俺は食べたくない」
こ、この偽物野郎、断る気か…っ!!
「誰が偽物野郎だよ!」
「じゃあ買ってきてよ!」
読心術はとりあえずスルーして…、
ここで引き下がるわけにはいかない。切なげに溜息をついて肩を落とした。
「はぁ…まぁそうだよね…」
「諦めた?」
「やっぱりベルに連れて来てもらうんじゃなかったな…」
「…は?」
ベルが怪訝な顔をする。
「どうせならスクかフランあたりが良かったかなー」
ここからが勝負だ★
「ちょ、何言って…」
「ベルなんかと違って優しいしぃー」
ちらりとベルを盗み見る。ムスッとした表情で、
「……じゃあ、じゃんけんで負けたらな」
「え、」
「じゃーんけーん…ほい」
咄嗟にグーを出してしまったが…
普通に勝った。
「やったぁ!!!じゃ、ブルーハワイで♪」
しばらく納得いかないような顔だったが、めんどくせーと言いながらも買いに行ってくれた。
フッ、と勝ち誇ったように口角をあげた。ふと隣に目をやると、サーフボードを持った団体がいた。
「(……カッコイイっ!!!!)」
団体のうちの一人がこの世のものとは思えないほどカッコイイ。いやもう美しい。
なまえはぽーっとその人を眺めた。するとその人が視線に気付いたのか、こちらに向かって歩いてきた。
「きみ、一人?」
「へ?」
ぼけっとしていたので返事が出来なかった。
「良かったら、俺らと遊ばない?」
「え…」
言葉に詰まった。海に来たのは初めてで、海を見たことがあるのはテレビの自然環境の特集みたいなものだけで、とにかく、断り方が分からなかった。連れがいる、と言えばいいのだが、困ったことになまえの辞書に"連れ"は無かった。
「えー…っと、…その、」
と言葉に困っていると、手をつかまれた。
「遊ぼうよ。サーフィンやったこと、ある?」
とりあえずどストライクの方に手をつかまれたもので、緊張して「ない、です」と断れずに返事した。
「じゃあ教えてあげるよ」とつかまれた手を引っ張られた途端、
反対側から引っ張られた。
「ぅえっ!?」
「待てよ」
驚いて振り返る。
ベルであった。
そのまま手を引っ張って顔を寄せると、乱暴に唇をなまえのそれに押し当てた。
「ッ!!!???」
顔を離すと思いっ切りムスッとした顔(主に口)で
「こいつ、俺のだから」
呆然とその男はベルを見る。
ベルはくるりと踵を返し、なまえを引っ張る。
「あっ、あの…ごめんなさいっ!」
なまえはイケメンくんに謝って、急いでベルの速さに合わせた。
しばらく歩くとベルは、はぁ〜…と溜息をついた。
「お前さぁ…」
「…ふぁい」
「バカ?」
「は?」
怒られると思っていたらバカかと聞かれた。ふぅと息をついてベルはその辺に腰をおろす。なまえも隣に座った。そしてベルは、かき氷を食べた。
「ちょっと!!!私の!!!!」
「やだ」
「何でよ!!かき氷いらないってさっき!!!!!」
「気が変わった」
素っ気なく答えてしゃりしゃりと食べる。
「私のだってば!!!」
「…あのさぁ」
「何!!!」
声を荒げて問うと、ベルはついっと向こうを向いて呟いた。
「…俺以外、見てんじゃねぇし」
ほんとに小さな声だったが、十分聞こえた。頬が熱くなるのを感じる。
「………わ、わかったから、かき氷ちょーだいよ!!!」
わざとらしく大声で言った私にベルは相変わらず顔を合わせずにバカにしたように言う。
「やだね。自分で買えよ。しししっ」
その顔が赤かったのは、まわりのパラソルのせいにしとこう。
「ベル、耳赤くない?」
「黙れっ」
ムスッとしてそっぽを向くベルにくすり、と笑った。



(笑うな…っ)
(…ふふ)


:)チェレステ様から頂きました。他の小説と並べてしまい、大変申し訳ありません。今後とも、よろしくお願いいたします。

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