小説 | ナノ
TITLE:指切り
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※ヤンデレ
タカ丸と暮らしはじめて早三ヶ月。しかしこの生活にはまだ慣れない。
「今日どうして来てくれなかったの?」
タカ丸が眉を下げて悲しそうに聞いてきた。たぶん、昼休みのことだ。約束したわけではないのに、タカ丸は私が昼休みに会いに行かないと怒る。理不尽だとは思うけど、ここは大人しく謝っておいた方がいい。
「ごめん。今日、委員会の仕事があって……」
「だから久々知くんと一緒にいたんだ」
タカ丸の表情を見て、背筋が凍った。本当にびっくりするぐらい、冷たい目をしていたから。
「同じ委員会なんだからさ、俺も呼んでくれたらよかったのに」
そう言っていつものようにふにゃりと笑った。ああいうことはまれにある。何度か見たが、やっぱり慣れない。
「なまえちゃん?」
怖くて動けないでいると、タカ丸に呼ばれた。わ、笑わなきゃ。私は無理に笑って、言葉を絞り出した。
「ご、めんね。次からはそうする」
「ほんと?」
「本当。指切りしてもいいよ」
小指を立て、タカ丸の前に手を出す。タカ丸は「わーい」と言って小指を絡めた。
「ゆーびきーり拳万、うーそ吐いたらはーり千本のーます」
違和感。そしてぽきん、と嫌な音。
「ゆーび切った」
「あ、あぁあああぁぁぁあああぁあぁあああっ」
「なまえちゃんは僕のものなんだからさ」
小指を、折られた。
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