ミックスナッツ(メフィ→燐←アマ)
※燐が生まれた時から悪魔兄弟と暮らして以下略。


ローストしたアーモンドに、カシューナッツ、ピスタチオ。
それに時々チョコやくるみ、赤と青のレーズン、ドライイチジク、ドライベリーの類が混じるミックスナッツが盛られた皿はリビングのテーブルに必要不可欠なものだ。

カリカリカリ。
ガリッガリッガリ。
もぐもぐもぐ。

三人の兄弟がリビングに集えば必ずそんな音が響く。
雑談をしながら。読書をしながら。テレビを見ながら。
何かをしながらテーブルの上のガラスの皿に手を伸ばしてミックスナッツをつまむ癖がついているのだ。

「燐君、ピスタチオとアーモンドをとってください」
「ほい」
「兄上、先日お借りしたマンガをお返しします」
「何それ?魔法少女プリ…」
「おおっと!これはまだ燐君には早い代物っ!」
「えー、なんだよ。オレだってもうオトナだぞ」

頬を膨らませた可愛い末っ子には申し訳ないが、お兄ちゃんにもプライドがある。
そう心の中で言い訳をして長男は確信犯な次男を睨み付けた。
しかし次男はそんな視線どこ吹く風でアーモンドを10粒程一度に口の中へと放り込んでくるみ割り人形よろしくガリガリ音をたてて咀嚼している。

「あっ、もうアーモンドがねぇっ!」

自称オトナな末っ子が悲痛な叫び声をあげた。
長男が苦笑してやれやれと肩を竦め、手に持っていた末っ子が好きなアーモンドを譲ろうとした、その時……。

ちゅっ。

「!!!?」

次男が末っ子の両腕をつかみ、キスしていた。
長男と末っ子の目は丸く見開かれているが、次男だけは至って普通の顔。

くちゅっ、くちゅ、ゴックン!

濡れた音がリビングに響いた後、末っ子の喉が何かを飲み下した。それと同時に次男は唾液の糸を引きながら唇を離す。

「……アマイモン、」

長男がぷるぷると肩を震わせ抑えきれぬ怒りを滲ませた声で次男の名前を呼ぶ。

「せめてもの情けだ。言い訳があるなら聞いてやろう」

真っ赤な顔でソファに沈んでしまった末っ子の頭を撫でながら振り返った次男は、長男の怒りを知った上で悪びれもなく答える。

「だって燐はオトナ扱いをして欲しいんでしょう?なら、相応の扱いを、と思いまして」

長男の荒ぶる心境を逆なでするように次男は末っ子の唾液で濡れた唇をなめ、再び末っ子に向き直って「さぁ、燐。次は何を食べたいですか」なんていけしゃあしゃあと尋ねた。


「アマイモーン!!!!!!」


長男の怒声と共にミックスナッツが宙を舞った。




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