3.
※燐が不安定。病み燐。
※両想いなのに仄暗いアマ燐。
※アマがまたもや痛いことになっています。苦手な方はこれを飛ばして次の話へ進まれることをお勧めします。







「あ……」
「気が、済みましたか?」

気が付けば辺りは草一本小石一つ転がらぬ真っ黒な焦土と化していた。
そして自分はアマイモンの上に馬乗りになっていて、アマイモンはといえば至る所に重度の熱傷と獣に負わされたような深い傷が刻まれていた。

「あ、あ、あぁっ……!」

また、また自分はやってしまったのか。
きっかけは解らない。思い出そうとしても思い出せない。最近そんなことばかりだ。
意識が、理性が飛んで、全てのものを傷つけてしまう性。否、悪魔として成長した自分に傷つけるなんて表現は生温い。

「大丈夫ですよ、燐。ボクはこれ位じゃ壊れない」

ボロボロのアマイモンが爪の剥がれた指でオレの涙を拭う。すっかり嗅ぎなれたアマイモンの血の香りが鼻をついて、また涙があふれてきた。
もう謝罪の言葉なんて思いつかない。
オレはただ子供のように泣きじゃくりながらアマイモンの体を抱きしめる。
みしりと骨が軋む音も厭わず、強く強く、アマイモンがオレから離れてしまわぬように。

「アマ、兄、アマにぃ、にぃ……」
「泣かないでください、燐」

腕が折れてしまったアマイモンがこつりと額を合わせてからゆっくりと唇を重ねてくる。
口の中に広がるのはやはりアマイモンの血の味で。いけないと思いつつも体の奥から熱くなってくるその味を求め、つい舌を絡めてもっと、もっととねだってしまう。
漸く息が苦しくなって赤い血混じりの唾液の唇を放すと、アマイモンも苦しかったのか珍しく顔が少し紅潮している。

「燐、ボクはずっと燐の傍にいますよ。燐、愛しいボクの可愛い弟……」

ああ、そうだ。
この言葉が聞きたくてオレは今日も優しい兄に酷いことをしてしまったのだ。




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bkm
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