0.
おれはアクマらしい。
みんなそういっておれをさける。
とおくから、かげから、わるぐちをいったり、おれがこわいからっておとーとのゆきおをいじめるやつらがゆるせなくて。
がまんできなくて。
きがついたらそいつらはちだらけになってた。
キィコ、キィコ、キィコ。
まわりのいえからさかなのやけるにおい、カレーのにおい、いろんなにおいがしてくるじかん。
みんながかえってだれもいないこうえんがおれのあそびば。
だれもいなければ、だれもなかない、こわがらない、きずつかない。
だいすきなブランコをひとりじめ。
ゆらゆらゆれるノッポのかげがおれのともだち。
「……なんか、しゃべれよ」
じめんをけってすなをかけても、かげはだんまり、しゃべってくれない。
やっぱりおれはひとり。
ひとりぼっちのアクマ。
「〜っ!!!」
またがまんできなくなって、きがついたらおもいきりこいだブランコからとびおりてた。
でも、おれはトリじゃないからとべなくて。たかいそらからじめんにむかっておちていく。
くるりくるりくるりくるり。
まっかなゆうひにのまれたさかさまのまちがまわってる。
このさかさまのセカイはおれのセカイじゃないんだ。
このままじめんにあたまをぶつけてしんでしまえば、おれはほんとうのセカイにいけるかもしれない。
ほんとうのセカイってどんなセカイ?
おれのなかのおれがきいてきたけど、おれはバカだからよくわかんない。
でもきっとあともうすこしでわかるはず。
3,2,1。
「……あれ?」
「面白いものを見つけました。人間なのにボクらと同じ匂いがする」
じめんにあたまをぶつけるはずなのに、いつまでたってもいたくない。
それにさっきまでのふわふわがなくて、めをあけてみるとしらないトンガリあたまがそこにいた。
おっこちてきたおれはどうやらトンガリあたまにキャッチしてもらったらしい。
「にいちゃん、ダレ?」
「ボクはアマイモン。悪魔の王様です」
「ほんとに?」
「ハイ。嘘をつく必要ありませんから」
まっすぐにおれのかおをみつめてくるアマイモンになぜかむねがドキンとした。
なんでだろう。
かおもなんだかあつくって、アマイモンのかおをみるのがはずかしい。
「じゃ、じゃあさっ、アクマのセカイってどんなとこ?」
ジジイからきいたことがある、うんめーのであいってきっとこーゆーこと。
そのひからおれのあたまのなかはアマイモンでいっぱいになった。