棒付き飴(アマ→燐)

※とんでもないパロディです。ただアマイモンに制服着せたかっただけ。





メフィストの話はいつも唐突で脈絡がない。
そしてその日もいつもと同じメフィストだった。ただし見知らぬ少年というオプション付きだったが。

「と、いうわけで本日より祓魔塾で学ぶことになった真巳 直君です」

マミ ナオ。

「と、いうわけで」にあたる説明もないまま祓魔塾の塾長であるメフィストが新しい塾生として紹介した少年はトンガリ頭と無表情、裾が確信犯的にボロボロな正十字学園の制服が印象的だった。

「ヨロシク」

棒付き飴を咥えたまま一言だけそう挨拶して軽く頭を下げた後、真巳はずんずんと席のほうへと歩を進め燐の隣に迷いなく座った。

「え?」

席はかなり空いているのに何故よりにもよって自分のすぐ隣に座るのか、真巳の考えていることがわからず燐が目を瞬かせてメフィストと真巳を交互に見遣ればメフィストがくつくつと喉奥で笑う。

「奥村君、真巳君は君の腹違いのお兄さんなんです」
「!?」

塾生たちが純粋に驚いてどよめく中、教壇の傍で講義に備えて待機していた雪男は別の意味で驚き目を見開いていた。思わず声が出そうになるのをなんとか堪え、キッと横に立つメフィストを睨み付ける。
そして燐はあまりの驚きに声も出ず、酸欠金魚のように口をパクつかせて大きく見開いた目を真巳から逸らせずにいた。
そんな燐を無表情で見つめていた真巳は棒付き飴を口から取出し、ふわりと甘ったるいチョコバナナの香りを漂わせる。

「燐、これから仲良くしましょう」

ニコリともせずそう言った真巳は手に持っていた舐めかけの棒付き飴を不意に燐の口に突っ込んだ。
しえみが赤面して両手で顔を覆い、勝呂達京都組は絶句し、出雲は絶叫し、そして雪男の眼鏡にピシリとひびが入る。

「ななななっ、なんのつもりだ、てめぇぇぇ!!」

しばしフリーズしていた燐は我にかえるなり烈火のごとく怒り(辛うじて炎は抑えていたが)、速やかに口から飴を取出し真巳に突き返した。
しかし真巳の方は燐が何故怒っているのか全く分からないといった風にコテンと首を傾げる。

「お近づきのご挨拶に、というものだったんですが。ああ、そうか。この味は燐の好みではなかったんですね」
「……〜っ!」

予想斜め45度上の解釈に言葉を失った燐を始め塾生一同をよそに、真巳は燐が突き返した棒付き飴を再び咥える。

(あ、燐の唾液の味がする)

自分以外の人間と悪魔が不安やら頭痛を感じている中、そんな不埒なことを考えながら真巳ことアマイモンはこれからの学園生活とやらにちょっとした期待を抱いていた。






真巳 直はMAMI NAOで並び替えてAMAIMONっていう無理やりアナグラム。続くかもしれないし単発で終わるかもしれない。


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bkm
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