「……最近名前をストーキングするのが流行っているのか?」 「さあ……どうなんだろうね……」
名前のケツを追いかけるエレンを追い掛けるミカサを追い掛けるジャンのストーカー数珠繋ぎを物陰からこっそり追い掛けるベルトルトを、アルミンと一緒に見守る。
先頭に立つ名前は、今日もきつい訓練を終えたあとだって言うのに走り込みに行くようだ。俺も兵士として見習うべきだな。
名前の後ろでは、ジャンとエレンが「てめえミカサだけじゃ飽きたらず俺の嫁にまで!!」「はあ?! 意味わかんねえよ! 名前がいつお前の嫁になった!」と口論をはじめていた。あいつらは本当に……仲が良いな。 「ジャンがさ、名前に胸触られた! ってはしゃぎはじめてからだよね」 「ん? ああ、そういえばそうだな。俺はどちらかと言えば、クリスタに大胸筋を捧げたいが……」 「え、あはは……」 「なんだアルミン、それは同意の苦笑か?」 「そ、そんなことより、エレンとジャンがこっちへ来るみたいだよ!」
顔に青あざをつくったエレンとジャンが、首根っこを捕まれてこちらへやってくる。二人を掴むミカサの顔は……、いや、止そう。あくまで言うまい……。
「だから名前はさぁ!!俺のおっぱいを見たんだっつってんだろうが!!」 「はあ!? ふざっけんな最初におっぱい触られたのは俺だぞ?! トロスト区ではなあ……おっぱい触った異性と結婚しなきゃいけないみたいなしきたりがあったり、なかったり……あ、あるんだよ!」 「そんなしきたりはない。そうでしょう?アルミン」 「えっ、僕!? と、トロスト区のことは知らないよ……!」
あーあ、アルミンまで巻き込まれちまった。
ふと、一人こちらに来なかったベルトルトの方を見ると名前に向かって全力で走っていた。
いやいや、まてまて、待て!ベルトルトの顔必死すぎるだろう!あいつ名前に何するつもりだ!
下らない口論を続ける三人を放っておき、俺はベルトルトを止めに走る。
「まあ待てって、ベルトルト! ベルトル、ベル……っ、ベ、ベルトルト……! お、お前なんでこんなときばっかり動きが早いんだ!」 「名前が、名前が! おしり振って僕を……誘惑してくるんだよ……!」 「名前のせいにしているが名前は絶対にそんなつもりないと思うぞ?!」 「ライナーも好きだろう!! おしり!!」 「ああ……大好きだ!!」
ベルトルトと頷きあい、前方に見える名前のケツを目標に、一目散に走る。
フッ……なるほどな。確かにいいケツしてやがるぜ。
「だがな、俺は兵士として変態野郎から同輩を守る!」 「ら、ライナー!? この……裏切りもんがぁぁ!!」 「そ、そいつはエレンの声真似か……?」
くらえバックドロップ!アニの恐怖再び! ベルトルト、お前もあの日の俺とエレンのように、無様に地に倒れ臥すんだ!
「ぐぅっ……、ら、ライナー……気を失う前に言っておきたいんだけど……名前には手を、出さないでくれよ……決して……名前が自主練習で息を切らしながら苦しそうに走ってる顔を舐め回すように見たり……揺れる乳房を目で追ったり……前屈みになって息を整えながら額の汗を拭っている時に胸の谷間を見ようとしたり…………タオルと偽って自分のパンツを渡したりとかは…………決して……決してしないでくれよ……!」 「…………早く気絶しておけ」
馬鹿な。エレンやジャンやお前じゃあるまいし、俺がそんなことをするはず無いだろう……。 クリスタにならまだしも名前になんて……あの名前だぞ?いや、しないだろう。 …………。
……いや俺は、しないよな…………?
|