「名前、昨日座学休んだだろ? 僕が昨日やったところを教えてあげるよ」
「ありがとう、マルコ! でも遠慮しておくね!」
「じゃあまずはここからなんだけど……」
「ああ……無視かあ!」

まあ、勉強を教えてもらえるのは素直にありがたいのでこの好意は受け取っておく。
本当はもう一人にしていて貰いたいんだけど、勉強ならきっと何事もなく終わるだろう。私の頭の良し悪しは置いておいて……。

「巨人の弱点はうなじなんだ。だから立体起動ではここを狙う」
「ふんふん」
「あ、うなじってわかる? ほら、僕の、ここのあたりなんだけど」
「いやうなじくらい知ってるよ! マルコは私をなんだと思ってるの?!」
「いやいや万が一わかってなかったら命に関わるんだから! きちんと確認しておいたほうがいいよ! さあ、触ってみて!」
「う、うん……確かに一理ある……一理ある、けど、触らないよ!!」

さあ、さあ!と後ろ向きに私に迫ってくるマルコを手で押し返す。
マルコってこんな……嫌がる人間に押しまくる子だったっけ……?
とにかくもう色々な事があったので男子には必要以上に近付きたくない、接触したくない私は、にじり寄ってくるマルコから距離をとり、身の安全を確保した。

「名前……もしかして僕のこと、嫌いだったりする……?」
「えっ!? どうしてそんな話になっちゃったの! そんなわけないじゃん!」
「本当に……?」
「本当だよ! マルコはいいやつだよ! 今だって……、ちょっとアレだったけど勉強教えてくれてるし!」
「名前…………!」
「マルコ……」

わあ、マルコの服の襟……だるっだる……。あんなのじゃ乳首が見え…………ハッ!!ま、まさか……!

「名前もしかして……」
「見てない見てない! 誰も乳首なんて見てないんだからね! 勘違いしないでよね!」
「ふふ……嘘つかないでよ、見たんだろ?  僕の……たゆんだ服の襟から覗く、ピンク色の乳首を……!」
「見てねーって言ってんだろ!! ついでにピンク色とか言うな!」
「ついでに舐め回したい……?!」
「お前もう巨人に食われちゃえよぉ!」
「……!」

あっ!さ、さすがに言い過ぎた……。
マルコは口元に手を当てて俯くと、急におとなしくなってなんだか呟いている。
……う、うう、悪いこと言ったな……。
そうだよね。巨人に食われろなんて……洒落にならないもんね私達……。

素直に謝ろうとして、私はマルコへ向き合う。

「マルコ……ごめん。さすがに言い過ぎて……」
「……いつか巨人に食われる前に名前と無理矢理一発ヤるのもありかな……どうせ食べられてしまうならせめて思い出のひとつやふたつやみっつよっつ……ついでにいつつ……」
「お……お、お前本当に……いい加減にしろよ!!」

だめだこいつ!いやこいつら!
104期生にはまともな男はいないんだ……今わかった!
もうやめてやる……!こんなところやめて、開拓地にいってやる!!



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