なんだかここ最近の疲れやすさが尋常ではない。
理由はわかってるんだけどな。そう……そうだそこのお前だよエレン……。
お前が変な噂を流したせいでみんなからの私の評価がドン底なんだよ!

おぼつかない足で休憩室に行くことにする。
なんだか今日は体調も最悪なので座学は休んでしまおう。
正直もう、いやなんだ……男子が。

「失礼しまーす!!」

エレンとかアルミンのうっかり事件があってからこうした声掛けは欠かさないようにしている。
返事がなかったのでドアを恐る恐る開けると、どうやら本当に人はいなかったようだ。

「よ、よかった……本当によかった……誰も着替え中じゃなくって……」

へなへなと思わずしゃがみこむとひどく頭痛がした。
これはやばいと思ったので這いつくばりながらソファを目指す。

横になるとドッと疲れが出てきた。
変な噂のせいで最近女子からもハブられ気味で心が挫けるし……男子と出会うとそわそわしだすし……ていうかなにもしないんだけど!

「あ? 名前じゃん」
「ひ、ひい! 近寄るなあ!!」
「はあ? おい平気か? お前風邪でも引いたんじゃないか、顔赤いぞ?」
「え、ま、マジで……なんかそう言われると風邪のような気がしてきた……」
「……あー、茶でも持ってきてやろうか?」
「いいの? コニー……お前バカなだけじゃなかったんだね……! 優しさをもった坊主だったんだね! う、うぐぐ!」
「お、おいどうした?! え、頭…? 頭痛か? 頭痛が痛いんだな?!」
「やっぱお前バカだよ」

茶ぁーーっ!!
と叫びながら駆けていったコニー。
なんだ、あいついい奴だな……。コニーとはこれからも仲良くやっていけそう。

もしかしてコニーは馬鹿すぎて噂の意味がわかってないのかもしれない。
寝そべっていた体勢から普通にソファへ座ることにして、コニーを待った。

「おーい待たせたな! 淹れてきたぜー」
「コニー……ありがとう」
「ほら、あちいから気をつけ……っうおお?!」
「な、なんで熱いお茶を持っているときに転ぶんだあぁっちいい!」
「悪い! 大丈夫か!」
「うわああん! 熱い、熱いよお! なんでこんな目にぃいいうおおおん」
「いやほんとスマン! 今拭くから!」
「だ、大丈夫気にしないで……でもそんな躊躇いなくわたしの紅茶のかかった下半身を拭こうとするのは気にして……!!」
「火傷とか、し、してねえか? 大丈夫か?! 死ぬな……死ぬな名前ーーーーっ!!」
「死んでたまるか!」

ドジったコニーが持っていた熱い飲み物をぶちまけたのはなんと私の下半身だった。
焦ったコニーはテーブルクロスを引っこ抜き、私の股間をごしごしと乱暴に拭く。

「いたいいたい! コニー大丈夫だから! 自分で拭くから!」
「あっ、悪い!」
「い、いいってことよ……はは……」

まったくこのとんだ大馬鹿めが……。
でもコニーって優しいんだなあ、ちょっと色々問題はあったけど私を心配してくれてるときのコニーはなんだか男らしくて少しだけかっこ良く見えた。
最近男子と関わるとろくなことになってなかったから……今もろくなことにはなってないんけど……。

「あれ、名前お前……」
「ん?」
「はは、なんか漏らしたみてーだな! 」
「この馬鹿野郎がぁ!」
「おふっ……! お、往復ビンタ……!」



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