「あっ! 名前あぶねえぞ!」 「よおし! 今度こそ!」
どうやらまた誰かが落ちてくるらしい。 昨日は良いことをしようとしてなんだかうっかりジャンを下敷きにしてしまったので、このチャンスは是非とも物にしたい。 さあ、私に助けられるナイスなラッキーさんはどこのどいつだ?!
「べ、ベルトルトだと……」 「わああ! 名前避けてっ!」 「ま、任せて! こう見えて私筋トレとか……週に二回はしてるから!」 「それ全然安心でき……っあああっ!」 「がふうっ」
こ、こいつぁとんでもなく重いぜ……! だけど今度こそ私は人助けに成功したのだあった!やったあ! 背中には床の感覚があるし上には人の重みを感じる。 だけど何故か前が、み、見えない……。そんな、私、頭を打って視力が……そんなまさか……!まさか…! なんだか頭も重いし……ううっ、目が見えなくなったら開拓地にすら戻れない……!
「まっ、前が見えないよおー!!」 「んっ 名前、そんなところで喋ったら……あんっ」 「な、なんだ今の声……!? べ、ベルトルト……?」 「ひんっ」
なんだかベルトルトの様子がおかしいのでもぞもぞと顔を動かすと顔に何か柔らかいものが……いや、固いかな……? なんだかちょっと気持ちいいので少し頬擦りしてみたらベルトルトが変な声を出していたのでそれ以上はやめた。
顔の上の柔らかいものから顔を出すと光が目に入る。 や、やった、やったよ…私前が見えるよ!
そうだ、ベルトルトの無事を確認しなければ。
「ベルトルト、怪我はな…………」 「名前が、僕の金たまに頬擦り……」 「え? …あ…………えっ?」 「……名前って、エッチだね」
は、恥じるなあー!! お前よりも私の方が遥かに恥ずかしいんだからな! 私がふにふに気持ちいいと頬擦りしてたのはなんとベルトルトのき、きん…た………デリケートな場所だった。 だから変な声出してたのか!言えよ!
「……ごめん」 「い、いいよ、助けてもらったわけだし……恥ずかしかったけど、責任とってもらえばいいしね…」
せ、責任……?また責任か……私は一体どうすればいいんだろう……。もう人助けはやめよう……うん。
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