「先生!お時間よろしいでしょうか?」
「名前さん、これたべてくださぁい」
今日も起床から、さすがはプロに近い学年と言われるだけはある苦無捌きを回避しつつ、今日の担当である五年生の授業中に毎日のように飛び掛かってくる生物委員会代理委員長の竹谷八左ヱ門を軽くいなし、授業を終えれば矢羽音でなにやら精神的攻撃を仕掛けているであろう鉢屋三郎に余裕の笑みをこぼしつつ(彼のために矢羽音を勉強しようと思う)、平和な学園での生活を噛み締めた。
今日の仕事は終わったも同然、と言うときに饅頭を片手に話し掛けてきたかわいい教え子達。
「君達は確か、戦輪を使わせたら忍術学園なんばぁわんの平滝夜叉丸くん、穴堀小僧と名高い綾部喜八郎くん。それは君達が手作りしたのかい」
「そうでーす。 痺れ薬を作る授業でした」
「ば、ばか喜八郎! ばらしてどうする!」
「なるほど。 ではいただこう」
「頂いちゃうんですかぁ?!」
中身は餡か。 なるほど、さすがは忍たま四年生、といったところか。 しかし味としてはこの間くのたまから頂いた団子のほうが美味ではあるかな。彼ら四年生とくのたまの見た目はどちらもかわいらしいのだが、女子と男子の違いとはかくも堅い。 あの団子にはたしか下剤が入っていたが、多少薬には慣れがあるので事なきを得た。
「おいしいですか?」
「そうらな、なかなかうまくひゅくれているよ。 みごとら」
「せ、せんせーい!!」
こやつらには薬の用法用量のなんたるかをこんこんと教えてやらねばなるまいな。
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