短編 | ナノ

刀剣女士・山姥切国広 零


山姥切国広♀
元審神者の魂がinしてる。


前回までのあらすじ

どうしてこうなったのかは覚えていないが、目を覚ました時には既に刀で、稀に発生するバグにより希少個体・刀剣女子として顕現していた元審神者。
最初に顕現したブラック本丸をさくっと抜け出し戦場を周回しながら彷徨っていたところ、初陣で重傷を負った山姥切国広を拾い、本丸まで送り届けることに。
無事に届けて去ろうとしたが、何がどうなったのかドロップ刀として本丸に登録されてしまい帰れなくなってしまった!


主からは切国ちゃんと呼ばれているが、初期刀の方はまんばちゃん呼びである。
ドロップ時点でのレベルは30。
初期刀と共にダブルエースとして本丸を支え、現在はもう1人の山姥切と共に修行から帰還し極個体となった。最速でカンストした為、現在は投石兵積んで低レベル育成周回の引率か内番近侍しかやることがない。あとはソシャゲ。片割れはカンスト前の為イベント(リアル)走っているが、彼女もまた主のイベント(スマホ)を走っている。


刀剣女子として顕現した影響か通常個体とは異なり、極前でも名刀山姥切の写しで国広第一の傑作なんだから綺麗なのは当然といった態度。山姥切国広共通の布は埃除けくらいの認識。


三日月が好きだったが、三日月は片割れが好きだったので潔く諦めた。
翌日には主が描いたみかんばの原稿に黙々とトーンを貼っている程度には変わり身が早い。主乱次郎加州の女子会メンバーと何故かいた鶴丸にした失恋忘れようの会では、BとGしか許されないなら私はお船に行きたいと配属替えの希望を出している。
「失恋したし修行実装まで当分あるから鎮守府に着任したい」
「えっ」
「えぇ……俺パス。潮風で髪傷みそう」
「布でなんとかなる。あと正直気まずい」
「驚いたな。みかんばにトーン貼っといて何を言ってるんだ切国」
「それ(現実)とこれ(同人)とは別なんだ」
「いいなーアタシも行きたーい! 塩辛作り放題じゃん」
「次郎、釣りに行くわけじゃないぞ」
「切国さん、海行って刀錆びない?」
「ぅ……さびるかも……」
「そもそも刀剣って指揮官登用されるの?主」
「うーん……前例は、ない」


その後大倶利伽羅とも良い雰囲気になるものの、同時期に顕現した3振目の山姥切国広とくっついた為無効試合となった。その日の晩に再度主に鎮守府出張を強請り却下されている。
「つらたん」
「失う単位も得る単位もないけどどうしたの」
「主、どうしても鎮守府に行きたい」
「将官試験の要項に人の身であることってあるから無理だねぇ」
「人の身ってどこまでのことを指すんだろうな」
「やめなさい鶴丸」

「なぁ、鶴丸」
「なんだ、切国」
「振り向いてもらえないのは、辛くはないのか?」


本丸に来てからの日課は毎夜燕返しの練習をすること。本丸という神域と言えど、幻想種のTUBAMEは中々捕獲出来ないため昼間捕まえた蝶々で代用している。その為昼間は大体短刀と虫捕り。
最近は無明三段突きを修得したい加州安定ペアも加わった。
「シールサーティーン、ディシジョンスタート! これは、世界を救う戦いである!」
「束ねるは星の息吹。輝ける命の奔流。受けるがいい!」
「神気的なものを纏わせるにはどうしたらいいのか……やはり俺が写しだから」
「まんば、理論上は完璧なんだ。あとは練習あるのみだぞ」
「我が秘剣の煌めき、受けるが良い!」
「清光、縮地ができてない」
「うるさい安定もできてないじゃん」


聚楽第の時、ついに希望が通り全本丸に所属する刀剣女子に割り振られる出張で横須賀鎮守府に行っている。
「すまない、まんば、主。聚楽第には行けません。いま、横須賀鎮守府にいます。この国と歴史を襲う深海棲艦と私は戦っています。……本当は、あの頃が恋しいけれど、でも今はもう少しだけ、知らないふりをします。私が守る主の故郷も、きっといつか誰かの青春を作るから」
「楽しそうでなによりだ」
「背景に海軍カレーのレトルトが並んでる」
「驚いたな、メロンカレーなんてあるのか! 主!」
「ダメです鶴丸ポチるな!」





××××
初期に戦線導入された審神者。
呪術特化型で本丸設備にも関わっていたが、神気侵食と病により死亡。その有用性から魂は技術部により凍結保存されていた。

実は戦力拡充を模索していた政府の実験による産物。折れた刀剣男子の刀に死亡した審神者の魂を入れるという実験で、刀剣男子の体を持った審神者、審神者の能力を持った刀剣男子のどちらかとして蘇るという説。
審神者が導入された当時、制度や設備の不足により殉職する審神者が多発していたことから行われていた。成功率が低い事と非実用的と判断されたことで現在は既に廃止され、研究資料は研究所諸共焼却処分されている。
成功例は何振りか存在していたが、それらもすべて破壊処分となっていた。

はずだったが、ある1振りが処分の騒ぎに乗じて持ち出され、とある本丸に配置された。
配置された本丸は規約違反として解体処分となっており、関係者も全員処分済である為彼女が被験体であるという証明は出来ない。



20220208

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