短編 | ナノ

沢田家長女 日々の断片


*SSSにもならない断片
随時追加

 ◇
 植栽の紅葉が鮮やかに色付いている。それを見遣った名前が、ぽつりと呟いた。
「……ねぇ、どうして緑化の書類まで保健(わたし)と風紀(あなた)で書いてるの?」
 緑化委員と言えば、保健室と病院の常連だ。委員長のみ出席の定例会に連れ合いで現れては何度も雲雀の前で群れて咬み殺されている。二人で一人の生き物。いや、三人だったかもしれない。名前の脳裏にぼやぁ、とした人影が浮かぶ。
 とにかくその彼らが出さなければいけない書類。今期の活動目標とその経過の中間報告書を、何故か保健委員長の名前と風紀委員長の雲雀が作成していた。
「いないから」
「そうね、雲雀君がまた咬み殺しちゃったものね」
 前回は一ヶ月の入院だったが、今回は二週間と聞いている。おそらくは雲雀なりに手加減をしたのだろう。
「アイツらは緑化じゃなくて仲良し委員だよ。緑化は初めからいなかった」
「いたわよ。その仲良し委員が緑化なの」
「……?」
「理解を拒まないで」

 ◇
「失礼しまーす」
「はい、ようこそ……おや、沢田綱吉と山本武。怪我ですか?」
「おっ、また珍しいな」
「なんで骸が保健室に!? 姉さんは!?」
「クフフ、沢田名前なら教師に呼ばれて不在ですよ。僕は偶然通りかかったところを呼び止められ、」
 ーーあ、骸君丁度いいところに! しばらくお留守番頼めるかしら? 生徒が来たらこの紙にある通りに対応お願いね!
「と言われたので、留守番中です」
「何で黒曜のお前が偶然通りかかるの? つーか、お前と姉さん、なんか仲良いよな……」
「良いのはクロームであって、僕とは良くないですよ。悪くもないですが。相性不利なので無駄に争わないだけです」
「……?」
「あと、このチョコ好きに食べていいと言われたので」
「お前って案外食い物に釣られるよな」


 ◇


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