僕らの終焉紀行 | ナノ
セヴンスターの香りとキス
ジン太くんに絡まれてるウルキオラをぼんやりと眺める。
「…どうかしました?」
「んー…」
ふと嗅いだことのない匂いに隣の喜助さんを見た。
「何だろう…不思議な匂いがする…」
「そうですか?」
喜助さんが不思議そうに僕を見る。目が合った瞬間、喜助さんの顔がぐにゃりと歪んだ。
「っ…」
苦しいわけではなかったが、息が詰まる。
次の瞬間、身体が畳の上に倒れ込んだ。まるで、毒薬でも飲まされたかのように。
「…識、」
すぐ近くでウルキオラの声が聞こえる。
「すぐに終わらせる。…だから―――」
だから、何。何を言っているのか、音が聞こえなくなって聞き取れない。
「…ウ、キオ…」
ねえ、待って、待ってよウルキオラ。行かないで、置いてかないで。
そう思っても身体が石のように動かなくて。
「―――、――――」
霞む視界の中、ウルキオラの顔が段々と近付いてくる。
「ぁ…」
そっと、唇が重ねられた。
「―――、―」
ウルキオラの身体が離れていく。
視界がブラックアウトする寸前、ウルキオラが小さく微笑んだような、そんな気がした。
セヴンスターの香りとキス
(ゆっくりと、)(夢の中へ)(落ちていく)
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