僕らの終焉紀行 | ナノ
識×織姫ver
第二幕予告編
-識×織姫ver-
激しい憎悪がうずまく冷たい瞳が、私を真っ直ぐに射る。
「なん、で…識くんが…」
「…勘違いするなよ。僕は、助けに来たわけじゃない」
「僕はお前の王子様じゃないからね」
「ひめちゃん」
ずっと後悔してた。
「ひめちゃん、おいていくの?」
何よりも大好きだった片割れ。
「ねえ、ひめちゃん」
大好きだったのに。
「また、ひとりになるの…?」
「ちがっ…わた、わたしは、」
大好きと言うだけで、何も、知ろうとしなかった。
「ずっと、いい子にして待ってた」
大丈夫だと言う兄の言葉を信じて。
「いい子にしてたら、ひめちゃんたちは迎えに来ると思ってた」
何が大丈夫なのか、深く考えようとしなかった。
「ずっと、信じて待ってたのに」
ごめんなさい。
「ひめちゃん、」
「嫌いだよ」
嘘。
「ひめちゃんなんか、嫌いだ」
違う。
「ずっとずっと、嫌いだったよ」
本当は、違う。僕を好きと言ってくれた彼女が、僕も大好きなのに。
ずっと嫌いだと言っていた。嫌いなんだと、そう、言い聞かせてた。嫌いにならなきゃいけないんだと、思い込んでた。
そうでもしないと、押し潰されそうだったから。
でも、本当はただ寂しかっただけで。結果的に僕だけ置いていかれて。いつか迎えに来てくれると信じて待ってたけれど、結局、誰も迎えには来てくれなかった。
みんな、僕の事は忘れてしまったんだと、そう思った。
恨むべきは誰か。憎むべきは何か。悪いのは僕なのか。
考えても、答えは思い浮かばなくて。
「嫌いだよ。嫌い、なんだ…ぼくは、」
だから、嫌いだと、言い続けた。
「ぁ…いや、喋らないで…喋っちゃダメだよ…」
「嫌いな、はずなのに…」
「識くん!」
「…あの、ね…おりひめちゃん…」
ひめちゃんを嫌いだと、昊兄さんを憎いと思う度、胸が苦しくなるんだ。
第二幕
「天使の断末魔」
「ひめちゃん、」
必要なら何度だって謝るし、もう二度と間違えない。だから、神様。
「――――、――――」
お願いだから、わたしの半身を、識くんを助ける力をわたしにください―――。
+++++++++
あとがき書き忘れてた。
最後まさかの死亡フラグに書いた本人もびっくりです。
自分でハードル上げた気がしなくもない。とりあえず頑張ります。
予告文.20110502
あとがき.0515
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