Un amour interdit
一陣のミセバヤ
あれからとんとん拍子に話が進み、ついに精市の手術予定日が決まった。
県大会予選の当日。結局全国大会まではドクターストップで出場出来ないけれど、夏休みには間に合う。
お医者さんから話を聞いて、元気が出てきたのか精市は定期的に簡単なリハビリを行っている。それに比べると、私は前より臥せるようになったけれど。
「小夜、入るぞ」
梓が持ってきてくれた漫画から目を離し、きょろきょろと辺りを見回す弦一郎くんにいらっしゃいと言う。
「精市はいないのか?」
「うん、リハビリ」
そうか、と呟き慣れたようにパイプ椅子を出して座った弦一郎くんはラケットバッグから見慣れたファイルを取り出した。大会などの書類が入ったそれは、精市が管理していたものだ。
「赤也が抜けた分の戦力を誰にするか、精市に確認してもらおうと思ってな」
普段レギュラーが目立ってはいるけれど、王者と呼ばれる前から立海男子テニス部は平部員も他と比べレベルが高い。それ故に県大会予選は勝って当たり前で、代々準レギュラーや後輩を敢えて出場させてきている。
それが今年、本来なら後輩である赤也くんを主将として予選に出させようとしてたのだけれど、赤也くんはレギュラーに昇格した為他の誰かを出場させることになった。
「ふふ、赤也くんはもうレギュラーだものね」
ああ、と自慢気に頷いた弦一郎くんに心が暖かくなった気がした。
一陣のミセバヤ
(弦一郎くんは本当に赤也くんが可愛いんだね)(小夜!!頼むから本人は絶対に言うなよ!)(ふふふ)
ミセバヤ…平穏