Un amour interdit | ナノ

Un amour interdit

桔梗に包まれて







「あら、こんにちは源一郎くん」

精市が他の病室の子達に連れて行かれて暇だったから、本を読んでいたら源一郎くんが病室に来た。

「ああ…小夜だけか?」

「精市なら他の病室の子に連れて行かれたよ」

そうか、と呟いた源一郎くんにパイプ椅子に座るように勧める。ラケットバッグを持ってるから、部活の帰りなのだろう。

「ふふ…今日は源一郎くんだけ?」

先日の、レギュラーのみんながお見舞いに来てくれた事を思い出して、笑みが零れた。

「いや、今日は仁王と赤也も一緒だ」

そう言うと、外から聞き覚えのある声が聞こてくる。

「お、此処か幸村?…こんにちは、小夜ちゃん」

「小夜先輩お久しぶりっス!!」

「ふふ…いらっしゃい」

手土産なのか、新発売のお菓子が入ったビニール袋を後ろから来た精市に渡した仁王くんに軽く吹き出してしまった。

「ただいま、小夜」

相当遊ばれたのか、少し疲れた表情をしている精市に水を渡す。

「おかえり…お疲れ様、精市」

「ん…ありがとう」

「おまんら相変わらず息ぴったしじゃな」

これ小夜ちゃんに渡せって、と苦笑気味に仁王くんが持つ紙袋を受け取る。中からの甘い匂いに今日が調理実習の日だった事を思い出し、思わず笑みがこぼれた。














桔梗に包まれて














(二人とも、またなんかお土産持って来るからな!)(持って来てもブンちゃんは全部食べちゃうじゃろ)





桔梗…優しい暖かさ


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