Un amour interdit
俺のオドントグロッサム
珍しく日の出前に目が覚めてしまった。直ぐ隣には小夜がまだ寝息を立てているが、少しだけ開いたカーテンの隙間から見えた空は、遠くの方が微かに白んできている。
空調管理がされているとは言え、吸い込んだ空気は少しひんやりとしているような気がした。
もう、本来の自分のベッドに戻らなければいけない。そうは思っても身体は鉛のように重く動かないから困ったものだ。
家だったらこのまま朝まで寝られるのだけれど、とそこまで思ってからそんな自分に微苦笑し、小夜の髪を撫でる。
時計の音が聞こえるくらいに静かな空間。時折聞こえるのは小鳥の囀りだろうか。それに微かに反応した愛しい片割れの髪をまた撫でる。
睫毛が震え、ゆっくりと目蓋が開かれた。
「せー、いち…?」
少し掠れた声にどきりとした。小夜は甘えるようにすり寄って来たかと思えば、また再び眠りに落ちていて。
「…本当、可愛いことするよなあ」
縋るように掴まれた袖に、そう、独りごちた。
俺のオドントグロッサム
(誰にも渡したくないから)
オドントグロッサム…特別な存在