Un amour interdit | ナノ

Un amour interdit

デルフィニウムと共に







検査から戻ってきてみれば精市の病室が決まっていた。本人の希望が通ったらしく、私と同室になったとその本人に、今、聞かされた。

「二人部屋に二人って、結局俺たち普段と変わらないな」

ふふふ、と楽しげに笑う精市に脱力する。テニスが出来なくなるかもと言って笑ってはいたけれど、もしかしたら落ち込んでいるのかもしれないと思っていたら、意外にも元気だ。まあ、原因が何であれ入院なんて初めてだろうし仕方ない…のか?

「精市、あんまりはしゃぐとベッドから落ちるよ」

興奮気味にベッドの上を動く精市に苦笑しながら言う。ここのベッド、何気に落ちやすいのだ。

「でもここ簡易キッチンとシャワーも付いてたんだっけ、なんだか新婚みたいだよね。小夜もそう思わないかい?」

「……」

同じ病人とは思えない程軽やかにベッドから降りて自室よりかは広い病室の散策を始めた精市に付いて、同じようにベッドから降り久しぶりに動き回る。
一瞬ふらついたもののさり気なく支えてくれた精市に少し気恥ずかしくなった。新婚、だなんて精市が言うから少し意識してしまう。あまり歩かなくなった私が転ばないようにと手を引いてくれる精市に、なんだか本当に旦那さんみたいだなと想像して少し顔が熱くなる。

「へぇ、シャワー室って思ってたより狭いんだ」

「え?ああ…うん、一人用だから」

扉からするりと入り込んだ精市に手を引かれ、私もシャワー室に入る。当然一人用に二人入っているのだから狭い。

「あー、やっぱ落ち着く」

背後から覆い被さるようにして抱きすくめた精市は、からかうように私に体重をかけてきた。

「ちょ、っと…!」

精市は同性と比べると確かに細身だけれど、私と比べるとなるとまた別問題だ。
後ろから覆い被されて前方にふらつく。狭いから倒れることはなく前の壁に手をついた。同じように手をついた精市の腕は私の顔の真横にある。腰にも手が回されてまるで追いつめられているみたいだ。

「…変な気分になってきた?」

「……?」

「所有欲…征服欲?あんまり聞いてなかったんだけど、保健の授業で先生がなんか言ってたから」

それは私じゃなくて精市に当てはまることじゃないだろうか。

「精市は?…征服した気分になった?」

体勢を変えて、首に腕を回して見上げるように精市を見る。

「うーん、どうだろう…あんまり変わらないかも」

そう言って、自然に唇を合わせてから精市は再び私の手を引いてベッドに戻っていった。














デルフィニウムと共に














(何がしたかったの?)(いや、うんちょっとテンションが上がってて)





デルフィニウム…気まぐれ


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