Un amour interdit
忍冬カプリチオ
「…手術、ですか」
ある日の午前。先生は突然、手術をすれば治ると言い出した。
何でも、私の患った病気は免疫系のもので、とある病気に酷似しているらしい。
「ただ、手術は成功率が低いから…時間はかかるだろうけれど、地道に治していくのも手だよ。と言っても、ご家族にはこれから話すんだけどね。…ただ、小夜ちゃんの病気は、決して治らないものじゃないって事を言いたかったんだ」
それじゃあまた後で来るね、と言って先生は病室から出て行った。途端に部屋が静かになる。二人部屋だけど、今は誰もいないから当たり前か。
「……小夜ちゃん、」
先生が出て行ってから数分後、ゆかりちゃんが顔を覗かせた。
「いらっしゃい、ゆかりちゃん」
何かあったのか、目に涙が浮かんでいる。
微笑んで迎え入れれば、途端に彼女は泣きそうな表情で私に抱きついた。
「ゆかりちゃん、どうしたの?」
ぐすぐすと鼻をすする彼女に、出来るだけ優しい声色で問いかける。
「小夜ちゃ…っ、手術、成功っ、低いって…」
ああ、今の話しを聞いていたのか。
出会った時から変わらない、泣き虫な彼女の背中を優しくさする。そういえば私が男子に移る時も号泣して部員を困らせていたな。
「…大丈夫よ。手術しなくても治せるって…先生、言っていたもの」
ポンポン、と優しく背中を叩く。
「ほん、と…?」
「うん、本当よ」
だから、そんなに泣かないで。
忍冬カプリチオ
(目が腫れちゃうよ?)(もう、小夜ちゃんは動じなさ過ぎなんだって)(ふふ、そうかな)
忍冬…友愛