Un amour interdit
デイコに捕らわれる
一番最初に異変に気がついたのは、俺だった。
「小夜…?」
額に汗をかき、苦しげに眉を寄せる小夜に気がついて。
声をかけようとしたら、虚ろな目をした小夜と一瞬目が合った。そのまま俺の方へ足を向けた瞬間、小夜は崩れ落ちて。
「っ、小夜!!」
伸ばした手は宙を切った。
汗でぐちゃぐちゃの身体に、今のが夢だと気付く。
「っ…はあ、はあ…」
宙をさ迷う手を下ろし、隣で寝ている小夜を抱きしめようとしたところで、小夜がいないことを思い出した。
「そっか…小夜は病院だったよな…」
もう一度寝ようと目を瞑るも、夢で見た小夜の虚ろな目が頭に浮かび眠れない。
「まいったな…」
眠れない、と呟き汗で濡れた髪を掻き上げる。
溜め息を吐きつつ、ぼんやりと隣を見ると小夜の枕が目に入った。
「…あ、小夜の匂い…」
薄い桜色のそれを抱きしめると、うっすらと小夜の匂いがして気分が落ち着いてくる。同じシャンプーを使ってるはずなのに、自分の髪とは違う匂い。
汗をかいた後に触ったのバレたら怒られるかな、と思いつつ枕を抱きしめたまま目を伏せた。
デイコに捕らわれる
(まさか一人で眠れないなんて)(でも)(今度は良い夢が見られそうだな)
デイコ(サンゴシトウ)…夢