Un amour interdit | ナノ

Un amour interdit

優しいスイートピー







精市が部長になってから数週間後、男子テニス部にマネージャーにと男女数人が導入された。今までもマネージャーはいたけれど、女子テニス部と違い部員の交代制だったから一年生にも練習がさせたいと精市が先生に直談判をしたそうだ。
私も最初は男子テニス部のマネージャーを希望していたからか、元々女子テニス部に所属していた私だけれど、選手ではなかったのもあって比較的簡単に男子テニス部に移動出来た。
もう女子テニス部部員ではないけれど、マネージャーには変わりないからお手伝いには行かせてもらうつもりではある。

「寒くなってきたね、小夜」

ふと携帯を触っていた精市が思い出したように言ってきた。
大きめのブランケットに二人でくるまっているから私はそこまで寒くはなかったけれど、精市は寒がりだから、少し肌寒いのだろうか。

「もう秋だからね」

そう言って絡ませた腕に少しだけ力を入れる。
結局検査入院では異常も無く、腕の痺れも睡眠不足が原因という事に落ち着いた。先生には一応1ヶ月毎に来いと言われてはいるものの、あの時はあれだけ不安だったのに、今では痺れてもあまり気にしなくなったし、睡眠時間を増やしたら痺れる回数も減ってきた。

「一時は検査入院とか、どうなることかと思ったけど…本当、何も無くて良かったよ」

ほっとしたように微笑んだ精市にごめんねと謝る。

「謝るくらいならもっと食べて太ってよ…こんな細腰でよくクーラーボックス大量に運べるよね」

「きゃっ…!」

突然腰を掴まれ、持ち上げられて膝の上に乗せられた。

「ほら、もっとくっついて」

「えっ、ちょっとまっ…!!」

精市が羽織るようにしてくるまっていたブランケットの両端を掴み、そのまま私を抱きしめる。

「ほら、こっちの方が暖かいだろ?」

意地悪そうな表情で私を見下ろす精市に微苦笑がこぼれた。

「もう…少しだけだからね」

胸の辺りに手を添え、精市に寄りかかるようにして身を任せる。
掌に感じる鼓動に安心し、うとうとし始めた頃。

「で、幸村くん達はいい加減ここが部室だってことにそろそろ気が付こうぜぃ」

「たたた、たるんどる…!!!!」

「弦一郎、たるんでいるのはお前の方だ」

げっそりとした丸井くんに普段通りの弦一郎くん、それにこちらも普段通りノートにペンを走らせる蓮二くん。まるで漫才のようなテンポだ。

「ふふ、こんにちは」

精市の腕の中から振り返って挨拶をする。

「相変わらず小夜ちゃん歪みねぇ…」

そう言い、丸井くんが引きつった笑みを浮かべた。

「で、他の奴らは?」

固まる弦一郎くんを横目に、精市が言う。

「柳生は担任と面談で赤也とジャッカルは終礼中、仁王は不明だ」

「ふーん」

自分から聞いた割に興味なさそうに返事をし、携帯には飽きたのか今度はブランケットにかかる私の髪を弄り始めた。













優しいスイートピー














(ところで何時からいたんだい)(幸村くんが小夜ちゃん持ち上げた辺りから)(へぇ、気づかなかったよ)





スイートピー…門出


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