Un amour interdit
読めないパンジー
二連覇という成績を残し、全国大会が終わった。
「おめでとう、精市」
「ありがとう、小夜」
微笑んだ小夜につられて俺も笑みを浮かべる。
「…小夜?」
何か言いたげに俺を見つめる小夜に、首を傾げた。
「ううん…何でもない」
困ったように笑い、帰ろうかと手を引く小夜に連れられ人が疎らとなった会場を後にする。
「……、…祝勝会いつだったっけ?」
沈黙が続く中、小夜が聞いてきた。
今年の祝勝会は夏休み明けて最初の部活の日に行われる。学校が負担してくれるようだし、土曜日だから多分全員参加になるはずだ。
だから小夜に一緒に行こうと言ったら、行かないと、一言返ってきた。
「え…?」
思わず隣の小夜を見る。
小夜だって女テニだけでなく男テニの方もマネージャーとして手伝っていたのだから、当然行くのだと思ってたし、錦部長にも誘って来いと言われていたのに。
「私は、行かないよ」
ごめんねと言い、小夜はただ、困り顔で笑うだけだった。
読めないパンジー
(いつからだろう)(小夜の考えが読めなくなってしまった)
パンジー…思考