静寂を保った空間に月明かりがゆらゆらと水面に揺れる

そう言えば、紺は何処に行った?

気付けば一人になってしまっていた私が置いていった訳ではない…。戦闘に紛れて姿を消した?思えば何時から私は一人でこうして立っているのだろう



『っ?!』


身体が思うように動かない、いつから?それすらわからないが敵の生き残りだとしたら一人だと言う状況はまずいのだろう


「やっと気づいたか」

「…」

"スッ"

『何が目的?』


背後から首筋に静かに宛がわれたクナイは少しでも身動きをとろうとするものなら死を意味すると言っても良いくらい静かな殺気と共に私を捉えていた

そしてこの気配は


「いつから気づいた?」

『たった、いま』


唯一動かせる視線を目一杯後ろに向けて状況を確認する

どのような術を使って身動きを封じているのだろう…。解ることは今私の背後にいる紺が術者でないことは何となく解る

じゃあ、いったい誰が?


『フェアじゃない』

「…」

『術者を出しなさい』


命令する権限が今の自分にはないことは気付いている。しかし何もせずに死を待つのは嫌だ動けないなら動けないなりの反発


「殺しやしないさ」

『じゃあ…』


"殺さない"ならどうして私は今こんな状態になっているのだろう言葉を発する前に首筋に宛がわれたクナイはすっと退かれ正面に向かい合えば同じ狐の面に触れられる


"カサッ"


面の紐をソッと紐解くと明らかにされる自分の顔



「…」

『(無反応…)』





2013/04/14

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