気持ちの〜 | ナノ


第三話.ぬらりひょん再び


『それじゃあ、おやすみなさい珱。』

「あっあの…椿姉様今日は…御一緒に眠ってもいいですか?…その怖くて…」

『ん?いいよおいで?』


珱を宥めてからおやすみと一言かけて

珱の部屋をあとにするはずだったのだけど…

珱に引き止められたのだ


「姉様、今日是光さんに
退魔刀を頂きました…」

『是光さんってあの陰陽師の人でしょ?父様がお雇いになられた花開院の?』

「そうです…」

『いい珱…この退魔刀は本当に珱が危険な時にしか使わないで。私はむやみに刀を振るう珱を見たくないわ』

「私もそのつもりです。」

『ありがと…ふぅ…父様も変わられてしまったわね』

「私の力のせいです…私の力のせいでお父様は…」

『珱は悪くないわ、それに力は私にもある。守れなくてゴメンね珱…』

「椿姉様は悪くありません!」


そう、もし私が珱より早く力に目覚めていたら

珱にこんな思いをさせる事もなかったのに…


「思いつめた憂い顔がこれ程、月夜にはえるとはな」


「な…何奴!?くせもの…」

『あっ?!…』

「ん?…よお、また会ったな」


目の前に現れたのは

先ほど私を見逃して

くれた妖怪…でも何故?


『何用でここに?』

「その前に美弥子は何故ここに居る?」

『質問を質問で返さないで!』

「姉様…美弥子様?とは…?」

『あっ珱!!!』


珱には町で使っている

名前を教えた事がない、ようするに珱に

【美弥子】と言う名を聞かせても

疑問しか表れないのだ…


「どういう事だ?」


嘘をついているのが

ほぼ100%バレてしまったいま…

詰め寄って来る彼から

私は後ずさりしかできないのだ…


「姉様から離れて下さい!」

【シュッ】

『珱!!!』


珱が一言、言うのを合図に珱を見たが

確認して直ぐに言葉が出るはずもなく

退魔刀が妖怪の腕を傷付けていたのだ…

ただの刀だと思っていた妖怪も退魔刀だと

分かったのか先程の余裕な笑みもなくなっていて


『腕を貸して下さいませ!』


ただの妖怪なら自分達の

部屋に土足できたのだから治癒する

必要もないだけど…今回は珱が

私の為にやってくれた事だから。



淡い光が彼の

傷口を覆い、暫くして傷が癒えたころ。


「あっ…ねっ姉様…私は」

『落ち着いて珱…ね?』


治癒が終わり彼から離れ

珱は何かを伝えたそうにして

そんな珱を包み込み背中を撫でてあげた…


「っすみません姉様っ私は先程…姉様と約束をしたと言うのに」

『いいんだよ。珱は私を助ける為にやってくれたんでしょ?』

「私を…珱姫を…嫌いにならないで下さいますか?!」

『むしろ大好きだよ珱』

「椿お姉様〜!」

「…ところでお前達は何者なんだ?」


妖怪が私達に問い掛けている途中

部屋の方にものすごい勢いで

足音が近づいてきた


「姫様方!ご無事ですか?!」

「是光さん?」

『まだ少し遠い…妖怪、今ならまだ逃げるなら間に合いますよ?』

「何故じゃ?先程の恩を今返すつもりか?」

『そんな事は思っていません。それに命を助けて頂いたのは一生忘れる事はございませんので、それに今こちらに向かっている人は陰陽師ですよ?』

「っち…」




「いくつか質問があるワシの所についてこい」

『はぁっ?!』

「椿姉様!いけません生き肝を食べられるかもしれませんし!」

「用がすんだら、ちゃんと帰してやるからワシを信じろ」


このまま私がついて行かず彼が

目の前で滅っせられるのを見たくない。

それに私の命の恩人だ

退魔刀を持てば大丈夫かな…?


『わかりました』

「ほぅ。物分かりがいいな姉の方は…」

「姉様!」

『そのかわり珱…さっきの退魔刀を貸してくれる?』

「姉様…わかりました」

『ありがと』


珱を見て大丈夫だと

言えば不安ながらも退魔刀を貸してくれた


「よしっ陰陽師が来る前にいくぞ!」

『きゃっ?!//』

「姉様!…妖様…もし姉様を汚す事があれば私は妖様を一生祟ります!」

『大丈夫だよ珱だから
珱は是光さんに上手く言っておいて?』

「わかり…ました…おきおつけて下さい」

「それじゃあ行くぞ」


彼は私を横抱きして部屋から抜けだした…

これって意外と否

案外恥ずかしくないですか!!?



「ほれ、ここじゃ」

『ん?…』


横抱きされた時は確かに恥ずかしかったけど

それは、その時だけで

いきなり宙に浮いたりして

…とても怖い体験をした所でした…


『ここは、何処ですか?』

「ワシの気に入っている場所の一つじゃよ。下を見てみ?」

『した…?…わぁ…』


下を見る様に促され下を見てみると

町の明かりが一面と広がっていた…

その時、自分が何処かの

山につれられたと理解したのだ。


『すごい…』

「だろ?ところで…」

『あっ…』

「………」


話が切り替われば

先程の少しの穏やかな雰囲気が変わる…

彼は私から話を切り出すのを

待っているようだ…


『…ハァ…私の本当の名は椿と言います。美弥子は町での仮の名前です…』

「なぜ嘘をついた?」

『質問の前に貴方も名乗るのが先ですよ妖怪?』



「ぬらりひょん…人はワシをそう呼ぶ…」

『ぬらりひょん…』

「そう…自由な妖の名じゃ…ところで…だ…椿は何故美弥子と名乗った…?」

『あの時の私は確かに美弥子でしたよ?それに、もし椿と名乗った所でぬらりひょん…貴方にまた会うとは思いませんでしたので…』


言った言葉に嘘はない、それに

ぬらりひょんと会う予定なんかも全くなかった…


『今度はこちらの質問ですぬらりひょんは何故、うちに来たんですか?』

「それは…噂が…な?」

『もしかして珱ですか?!』


私の質問に気まずそうに

答える、ぬらりひょん…その言葉に

私はすぐに妹の珱姫の事だとわかった。

珱は京1の美人と噂されている…


『珱は渡しませんよ?』

「興味ねーよ。それよりワシはお前を…
椿を気に入った。
椿姫…ワシの女にならないか?」

『なっお戯れを!』

「ふざけてなんかねぇよ」

『信じられません!』


そう…私なんかに興味を持つ

はずがない…妖怪だから変なのだろうか…?

とにかく簡単に信じられない…


『…とりあえず…家に帰して下さい…//…』

「いま、あんたに何を言っても無理そうじゃな…」

『すいません…』


謝る私を見て小さく

息を吐くぬらりひょんをみて

申し訳ない気持ちになったか本当の事だ…

もし私に言った思いが嘘で珱にもしもの事が

あれば大変だ…そう無意識に考えている

間にぬらりひょんが家まで送ってくれていた



『送ってくれてありがとうございます』

「また来るからな」

『私は居ないかもしれませんよ?』

「ククッその時は捜すまでよ」

『ハァ…』


何がぬらりひょんの

気を引く部分だったのだろう…それが

分からなくて、私は深いため息をついた


「姉様?お帰りになられたのですか?!」

「それじゃあな」


『さようなら。ぬらりひょん…』


珱の声を合図にするようにぬらりひょんは

縁側から飛び出していった…。



【2010/09/21】

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