気持ちの〜 | ナノ


第一話.その姫は…。


とある公家屋敷…


「椿姫、少し来なさい」

『なんですか?とぉ様?』

「見なさい、椿姫に妹が出来たんだよ」

「いもーと?」


これが私と、珱の出会い

母様と父様、珱と私…

これから仲良く家族で

過ごせると思ってた…


「いい椿?この子は貴女の妹なのだからしっかりと守ってあげてね?」

『はい!母様!』

「名前は珱姫じゃ」

『よーひめ?』

「よう姫よ椿姫」


それから母様は

私と珱の頭を一撫でしてくれた。


そして暫くしてからお亡くなりになり

私達も私達なりに

ある力に目覚めて成長していった。





「まっ…様…姉様…椿姉様!!!」

『んっ珱?どしたの?』

「椿姉様が時間になっても私のお部屋に来て下さらないので心配になってしまって…」

『もぉ〜まったく珱は本当に可愛いんだから』


そう言い珱に抱き着く

私を珱も抱きしめて

くれて頬を赤くした


「そんな椿姉様に比べれば私なんて////」

『違うよ、珱は京1の美人さんって噂なんだよ。私もなんだか嬉しいもの…それに珱は優しいし自慢の妹だよ』

「姉様大好きです!//」

『うん私も大好き!』


珱と私は少し前に治癒の能力に目覚めた

珱はその能力を父様の為に使っている。

でも私は変わりはてた父様が嫌いだ…だから

私の治癒能力の事は秘密にしてある。

代わりに私は屋敷から抜け出して珱の治癒を

受けられない人を治癒している。




もちろん目立たない様に

地味な色の格好をして行っている。

この事は珱と私だけの秘密…


「ところで椿姉様今日も町に行くのですか?」

『うん。珱が他の人の治癒をしている間に行ってくるつもりだよ』

「最近、暗くなるのが早くなっていますから…なるべく早く帰って来て下さい
妖も現れると噂ですし…正直、私は不安です。」

『だーい、じょーぶ、すぐに帰ってくるってば。まだ時間はあるしそれまで私と鞠付き(まりつき)でもやろっか?』

「はい!」


町に行く事は珱も了承

してくれているけど

時折、つい子供達と

話をしている内に

辺りが暗くなってしまい

珱に心配をかけさせて

いる。それに珱は

屋敷から出る事が

出来ない為…

(私はお忍びで出掛けているけど)

話相手も遊び相手も

私しかいないのだ。

珱は私をしたって

くれている。

私も珱が大好きだし

守りたいと思っている

母様と約束したあの日から






『ひゃーく♪はい、珱の番だよ?』

「姉様凄いです…!私は姉様のように上手くできません」


鞠付きで珱は何時も50の前後で

終わってしまう。

普段やらない人に比べれば随分と

上手な方だと思う…


『珱ももう少しすれば私みたいに出来る様になるわよきっと』

「本当ですか!」

『うんだか「珱姫様、父君がお呼びです」…』

「あっ………はい…」


出来る様になると言えば

珱の表情は花の様に咲き

本当に可愛いと思う

でも…私がもう一度と言う前に

珱を屋敷の人が呼びに来た。

随分と長く鞠に集中していたのだろう。




『それじゃあ…頑張ってね』

「椿姉様もくれぐれも、おきおつけて下さい」

『うん』


私達は他の人には絶対に

聞こえない声で

会話をしてお互い

離れた。珱は父様の元へ

私は部屋に…



【2010/09/16】

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