気持ちの〜 | ナノ


第三話.心配


「もし僕が大きくなったら僕の奧さん、になってくれる?」

『オクサン…ですか兄様?』

「うん!ね、いいでしょ?」

『あ…はい』




小指と小指を絡ませ小さな約束

しかし幼いが故に"オクサン"が夫婦のことなどとは

知るよしもなかった。















「久しぶり、椿」

『兄様』

「相変わらずだね君は」



そっと近づかれれば頭をポンッとひとなで




「人の女にきやすく触んじゃねぇ」

『ぬらりひょん?』




後から抱き締められているので見上げる状態で

彼を見上げてみても、その顔を上手く見ることはできず

しかしながら顔は見えずとも彼の声は確かに怒っていた





「"人"の女って、君は妖じゃないか?」

「て『ぬらりひょん!落ち着いて下さい、そして離して下さい、ね?』」




喧嘩が起こる前に次の言葉がでる前に止めれば

彼に解放してもらうように頼んだ。

正直抱き締められるのは嬉しいが今の状態で

そんなことを言っている暇はないし

人目にさらされるのは恥ずかしい…





そして渋々ながら肩越しに巻き付いていた彼の手が離れた





「こんな我儘な妖より兄様の方が絶対姉様のためですわ!」

「皐月さん、貴女は少しお黙りなさい!」

「珱姫、貴女の声の方がここにいる誰より大きくてよ?」

「そん『珱、落ち着いて』…はい」





ぬらりひょんと兄様、珱と皐月ちゃん

この四人は非常に仲が悪い…。



「まぁまぁ、少し落ち着いて皆で出掛けてきたら、どうやろうか?」

「お出掛けですか?」

「ワシは『さ…さぁ、ぬらりひょん、珱いきましょ?兄様と皐月ちゃんも早く来てください』」

「おっおう…」

「でも姉様どちらへ?」

「姉様待って下さーい」

「…」



秀元さんの一言で此処にずっと残り喧嘩をするより

町に出て歩いていた方が良いと考え

ぬらりひょんと珱の片手を引きながら門を出た











「なぁなぁ、雪麗ちゃん?」

「なによ?てか、何その呼び方…」

「あの、兄様の名前気になるんやない?
僕、めっちゃ気になるんやけど」

「はぁ?」

「まぁ、そんなことよりあの男…変やで?」

「人でも妖でもない気配がするんや」

「なにそれ、半妖ってこと?」

「でも、妹さんからは、ちゃんと人の気配がするわけなんや」

「ふーん…ぬらりひょん、気づいてるのかしら」




























「姉様、見てください桜が満開です」

『クシュン…』

「風邪か?」

『そんなことはないと思うんですけど』








町を散策しているうちに日は沈み夜になり






「妖様、そろそろ帰らなくてはいけないのでは?」

「この男を残して帰れるか」

「まぁ!兄様のせいにしないで下さい!」

「皐月、落ち着きなさい」

「いいわ、私が帰るからアンタは残りなさい」

『雪麗さん?』

「大丈夫、明日もちゃんと来るからさ」




雪麗さんは私が心配しないように言ってくれているようだが

私が心配しているのは、そんなことじゃない



ぬらりひょんをずっと京に留めてしまうと言うことは

総大将としてのぬらりひょんの立場を考えてみれば

これでは、いけないと思ったから






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