気持ちの〜 | ナノ


第八話.揺れる心


『送ってもらってすいません
ありがとうございます牛鬼さん』


「いえ、私はただ総大将から
おおせ付かったことをしたまでのことです」

『そうですか』


珱を起こさないように

ゆっくり向かっているであろう

ぬらりひょんより先に送って

もらった私は牛鬼さんにお礼をつげていた。


「椿様…1つ話をしてもいいですかな?」

『はい』

「先程の総大将のことなんですが…」

『…はい』


先程とゆうと、ぬらりひょん

の求婚のことだろうなんとなく何を言われるか

予想ができていたため

慌てることなく対応できた。


「...あの方は人と交わるなどと
常識はずれなことを言い出す」

『ですよね…』

「ですが、それでこそ…
みながついてゆくのです」

『えっ…?』

「よっと」

「それでは私はここで」


話の途中ぬらりひょん達が

帰ってきたのと同時に牛鬼さん

は、その場を後にした




寝床に珱を連れていけば

私と、ぬらりひょんふたりきりになった


『今日は…その…
ありがとうございます
それでは、また…っ』


縁側にでればお礼を言ってみるが

ぬらりひょんの目を直視

することができずに部屋に戻ろうとした直後

後ろから、ぬらりひょんに抱きしめられた


「なぁ…一緒になろうワシはやがて天下を取る…その為にはお前が必要なんだ」

『私は…ぬらりひょんの思うような人ではありません…
もし、私の力が必要ならばその時だけお呼び下さい』

私は、ぬらりひょんに命を救われたことがある

だから力にはなりたい。

でも珱はぬらりひょんが

多分好きなはずそれなら例え求婚されて

いようが妹の恋を応援したい


「…アンタの力が欲しいんじゃねぇ
そばにいろって言ってんだよ」

『…』

「アンタが何をかんがえてるのか
ワシには、わからねぇが椿…ワシが嫌いか?」

『そんなことっ』


"ない"と言ってしまえば私は珱を素直に応援

できなくなるだろうでもようやく気付いた…

私はぬらりひょんが好きなんだ


「また明日、その時
返事を聞かせてくれ」

『そんなっ!』


出ていく ぬらりひょんの

背中を見つめることしか出来ない

今は時間が足りない

それだけしか考えることができなかった




あれから考え事をしている内に

一睡もせずに夜が明けてしまった



「んっ…椿姉様…」

『起きた?』

「はい」


目を擦りながらも起き上がる

珱は昨夜のことを思い出すなり

気まずい空気が流れた


「姉様は妖様の所へ嫁がれる
つもりなのですか?」

『それはまだ…』

「私は姉様と離れ離れになる
のは嫌です。でも姉様が不幸
な思いをするのはもっと嫌です」

『私も…珱には幸せになってもらいたいと
思ってる珱は、ぬらりひょんが好きなんでしょ?』

「はい…?今何と?」


キョトンと目を丸くして首を傾げる珱


『えっだから、珱はぬら「私妖様は大っ嫌いです」』

『でも珱ずっと』

「それは…椿姉様ずっと妖様のことばかり
なのに求婚だなんて」

『そうだったんだ私は珱を置いて何処かに
行くつもりはないよ』

「…約束して下さい」

『約束するよ』


目尻に涙を溜めて話してくれた珱の涙を拭って

あげながらも内心安心してしまった。


「あっ確認ですが姉様は
妖様がお好きなんですよね?」

『うっ…うん///』

「椿姉様?」

『なっなに?//』

「わかりやすいです」

『っ////』


改めて聞かれれば顔の中心に

熱が集まってくるのがわかる


『わっ私、顔洗ってくる//』


これ以上こんな姿を珱に見せたくなかったため

私は部屋を都合をつけて飛び出した




「えーこのたびは」

『(お客様?)』


広間を通り掛かったそこには

父様とお客様が座っていて

何か話している最中だった。


「珱姫殿と椿姫殿をぜひ
豊臣秀頼様の"側室"にしたい」


父様の前には大量のお金

私達は売られてしまうのかと

思っていたが父様のことだ

更に上の額を考えているだろう


「こ…これは…
光栄でございます…ですが…
その…」

「なんですかな?」

「いやねぇ…二人ともいずれは高貴な方に
嫁がせようと思っていました…側室という
のはあまりにふびんで…ねぇ?」


父様の返事を聞いた直後

一人の客人の顔が大きくなった


「…欲深はいかんなぁ〜」

『(妖?!)』

「ひいぃぃ!?」

「いいから受け取れ」

「あっ!あ"っあぐ」


お金を父様に浴びせるように

しながらも鈍い骨の砕ける音

そして床一面に広がる無数の飛び散った血液


「お前の金だ」

「欲をかかねば…
死なずにすんだものを…」

『(父様)』

「主は死んだ、姫君達を」

『っ…』


"姫君"と名が出た瞬間現実に引き戻され私は

音を立てないように部屋へ戻った




『珱!っ珱姫!』

「椿姉様…?
そのような大きな声を
出されてどうしたのです?」

『父様が…いいえ…詳しい話す時間はありません』

「ねっ姉様?!」


部屋に戻り珱を見つけると

私は珱の手を掴み部屋の襖の奥へ押し入れた


『いい珱姫、これから何があったとしても…
ぬらりひょん...彼が来るまで、此処から出ては
いけません。もちろん声も出しては駄目…』

「何があったのですか、ねっ」


多分あの人達の目的は私達

妖なのだから生き肝狙い

なのだろう…だったら珱だけは

…守りたい…

だから私は珱に何も言わせず

扉を閉めた理由を言えば必ず

私についてくるだろうそれでは、意味がない

ぬらりひょんが来れば珱を守ってくれる

それを信じて、こちらへ近付く

足音と共に私は着物を整え

平然を装い静かに客人を待った


【トットットットット…】

『(もうすぐ…)』

「失礼する」

『…どちら様でしょうか?』

「私共は豊臣秀頼様の使いの者
にございます。」

『御用件は?』

「はい、椿姫様と珱姫様
を秀頼様の側室に迎えにあがりました」

『父様に話は通されましたか?』

「もちろんですとも」


顔はニコニコしているが

これが父様を殺した妖なんだと

思えば思うほど冷汗が出て来る

今自分は普通に笑えているか

珱は出て来たりしないか

そのことばかり考えてしまう…


『…生憎ですが珱姫は今この
屋敷にはおりません。
他の屋敷に出払っているのです』

「それは誠でございますか?」

『はい…申し訳ございません』






「それでは、椿姫様は
我等について来て下さりますな?」

『嫌だ。と言いましたら?』

「無理矢理にでも連れていくまでです」


私が先に行けば、ぬらりひょん

が来るまでの時間は稼げるはず

少しでも長く時間を稼ぐ

しかし一歩間違えると

殺されてしまう。最悪

珱を巻き込んでしまう

そんなことを考えながらも

"嫌"と意思表示してみたが

案の定もう一人の大柄の妖に

腕を釣り上げられてしまった


『きゃっ』

「またぬか」

『っ』

「椿姫、今の状況がわかりますかな?」

『…先程の発言はちょっとした
戯れにございます、豊臣様の
側室になれるのでしたら喜んで
ついていきましょう』

「よろしい」


腕を解放されたのもつかの間

抱えられ私は大阪城へと

連れていかれた…。





…ぬらりひょんside…

「椿、返事を聞きに来たぜ」

「グスッ…スッ…」

「おい、珱姫…何だこれは…」

「妖様…ねっ姉様が…
椿姉様がぁ」

「椿は何処に?」

「お前は、ぬらりひょん
やはり最近感じていた微かな
妖気はお前が「んなぁことはどうでもいい」」

「姉様は…妖、妖に連れていかれました」

「貴様の仲間じゃないなら
他の妖に連れていかれたよ」



「椿を狙う妖(生き肝信仰の妖か…?)
…そいつらはどこへ…」

「大阪城だと…思います」



大阪城の名を聞いたとたん

脳裏に現れた"羽衣狐"の名前


「羽衣狐…か」

「妖様!姉様を椿姉様
を助けて下さい!姉様は…
私を守るために…っ妖様!」


珱姫の話を聞き屋敷を後にしようとした直後

珱姫に呼び止められた振り返ると何も言わず

涙を拭いこちらを見つめていた


「珱姫…アンタもワシについて来るかい?」

「ぬらりひょん!お前何を?!」

「お願いします!」

「姫様?!」

「別に何も考えちゃいねぇよ」

「なに?」

「私は妖様のお邪魔になるやも
しれません…ですが!私も姉様
をお助けしたいのです」

「これは珱姫が決めたことだ
お前が決めることじゃない…行くぞ珱姫」

「はっはい!」




【2011/07/31】


prev / next

[TOP]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -