気持ちの〜 | ナノ


第七話.奴良組へ


「あの…姉様…」

『なぁに珱?』

「少し落ち着かれてはどうです?」

『え…』


話しかけられた座っている珱の

方へ視線を落とすと私は

部屋の端から端を行っては戻り

行っては戻りを繰り返していた

そして、今に至るのだ…


「妖様、今日は遅いですね」

『そっそうだね…あっもしかして気になるの?』

「そうゆうつもりでは!」

『私は珱が幸せになる為だったら何でも協力するからね』

「椿姉様…それなら何時までも私の姉様でいて下さいますか?」

『もちろんだよ』

「クンっ」

『この鳴き声…』


一度聞いて覚えてしまった

昨日出会った小さな妖…

その子は私を見るなり

私の膝の上に飛び乗ってきた


「お一人…のようですね?」

『うん、ぬらりひょんと一緒
じゃなかったの?』

「クン?」


白い毛並みがとても綺麗で

首を傾げると、その毛先

が揺れて思わず見とれてしまう

そして暫くたっても

ぬらりひょんはやって来なかった





「姉様…今日はもう」

『うん私はもう少し起きてるから珱は先に眠っても大丈夫だよ?』

「椿姉様が起きておられるのら私も御一緒致します」

『無理しちゃ駄目だよ…』


暫く時間がたってもぬらりひょんは現れず

夕暮れ時にやってきた妖

"小夜"は私の膝の上で丸まり

寝息をたてている。

"小夜"は珱と一緒につけた名前

真っ白な毛に真っ黒な小さな瞳

出会ったのが"夜"とゆうことで

"小夜"といとも簡単に決まってしまったのだ。


「よく眠ってますね」

『そうだね』

「小夜と出会えたのも…妖様の
おかげ…ですね…」

『うん珱、私肩使ってもいいよ?』

「それでは…少しだけ…
お借りします…」


言葉が眠たさのせいか

とぎれとぎれになった珱はスッと眠りについた。


『どうしたんだろ…』


小夜を待っていたはずなのに

何時しか私は、ぬらりひょん

を待ってたんだと気付いた。


「ワシを差し置いて先に来るなんざいい度胸してんじゃねぇか」

『ぬらりひょん!?』

「く?」

「きゃっ」

『あっ…珱、ゴメン』


後ろからの待ち人の声に振り返れば肩を預けた

珱達を落としてしまった





「と…いいますと」

『小夜は、ぬらりひょんの所を抜け出して此処へ来たと?』

「くんっ」

「ところで…コイツの名か?」

『小夜のこと…ですか?』

「私と姉様とで昨晩
決めさせてもらったんです」

『いつまでもアナタやコノコでは可哀相でしょ?』

「なるほど」

『納得してくれましたか?』


小夜の名前に疑問を持ったのか

首を傾げた、ぬらりひょんに

説明をすれば簡単に納得してくれた



「妖にも、屋敷があるのですか?」

『あっ私も思いました』

「あるには、あるが」

『じゃあ、そこには私が初めてお会いした方々も?』


私達の出会い

それは妖に追われていた私を彼が率いる

百鬼夜行が助けてくれたとゆうものだ…

初めは怖かったけど今思い返せば

お礼をきちんとゆうべき相手なのだ


『ぬらりひょんがよろしければ
私を招いてはくれませんか?』

「おっ?」

「姉様?!」

『初めて会った時の…助けてもらったお礼をきちんと述べたいのです』

「ワシは歓迎するが」

「椿姉様が行くのであれば私も参ります」

『時間が時間ですし、また日を改めてっ?!』

「妖様?!///」

「なぁーに朝には連れて帰る
から安心しな」


いつもなら私一人なため横抱きなのだろうが

今日は珱がいる…もちろん珱が邪魔だとは

思わないけど物を抱えるように

私達を肩に担ぐその様に

胸を締め付けられるような感じがした…。




「ほら、ついたぞ」

「こんな街中に…。」

『妖が混じっていたなんて』


ぬらりひょんに連れて来られた

そこは普通の家よりも

少し大きいくらいの平屋で

当たり前のように中に入る

ぬらりひょんを見れば

やはりそこなのだと思わせる。

でも妖がこんなにも近くに住んでいる

とゆうことを、誰も気づかないものだろうか?

私と珱はその光景を目の当たり

にして、ただ立ち尽くすこと

しかできなかった。


「何やってんだ?ワシは先に行くぜ」

「くんっ」


たった一日しか変わらない

のに慣れたあしどりで先に中へ入って行った

小夜を見て私達も後を追いかけた


「まっ待って下さい!椿姉様、参りましょう」

『うん』

「帰ったぜ」

「「お帰りなさい総大将」」

「まったく貴方とゆう方は
毎晩毎晩いったいどこ…
総大将…その者達は…」

「おっアンタ人間か?オイラ達と遊ぼうぜ」

「ひっ?!椿姉様」

『納豆?』


妖の住家に来たのだから覚悟はしていたけど…

納豆が喋るなんて思わなかった。

珱は完全に怖がっているし

私は唖然とするしかなかった


「納豆小僧、珱姫と遊んできな」

「妖様?!」

『ぬらりひょん?!』

「なぁにコイツ達は何もしねぇよ
だからほら」

「きゃっっ姉様…」

『大丈夫、私が近くで
見てるから…ね?』


多少は不安が残るが

ぬらりひょんを信じてぬらりひょんに背中を

押された珱を送り出せば納豆

(ぬらりひょん曰く納豆小僧)

に手を引かれて行った。



「ウギャアァァ スゲェ珱姫!!」

「夢浮橋五十点出たー!」

『馴染んでる…』


珱が小さな妖と遊んでいる間に

前回見かけた牛鬼さん

雪麗さん達に丁寧にお礼をのべた…。

雪麗さんに至っては

どこか複雑?そうな

そっけない返事が返ってきた

他の方達も私達が

ぬらりひょんの客人だからとゆう感覚で

返事は返ってきたけど表情からして複雑そうで

どこか受け入れられていない

ような気がした一方、珱はオドオドとしながらも

楽しそうにやっていたぬらりひょんはとゆうと

杯にお酒を入れその場に位置していた。


「まったく総大将の考えてる
ことは…わからん!」

「人間の女を、こんな妖の
集団の中に入れて酔狂な…」

『(私達のことだ…)』

「後で肝を喰うのか?」

「さて…どうするつもりだ?」


近くから聞こえる明らかに

聞こえる私達の小言

"肝を喰らう"聞いただけでも

自然と背筋が伸びてしまう…


「椿姫」

『はっはい?』

「ワシと夫婦になろう」

『はい…?』




「ちょちょちょ!待って
下さい総大将ぉ!!?」

「ん?」

「今何と言いました!?
この女は…人間ですぞ!!」

「人と交わる気かあんたーー!」

「椿姉様…」

『よっ珱…これは…』


ぬらりひょんに呼ばれ振り返れば何故か辺りも

シーン…としてしまい

ぬらりひょんの爆弾発言で先程まで黙っていた

方達も騒ぎ立て始めたそしてそれは、もちろん

珱も聞いていたわけであって

今までに見たことのない珱の不安そうな顔が

私の瞳に写った。


『(やっぱり珱は…)』

「ちょっと!!ぬらりひょん
こんな女のどこがいいのよ!!」

「どわっ…そーいう問題じゃ
ないぞ雪女」

「雪麗、この人はお前が思って
いるよりよっぽどいい女だぜ」

「下の名前で呼ばないでよ…
今は…この…変態!!」

「こりゃ雪女、総大将に
向かってなんてことを」


そのまま雪麗さんはカラス天狗さんを凍らせて

その場を飛び出して行った。


「椿」

『は…はい!?』

「アンタは特別な存在だ…
ワシはずっとアンタを見てきたが
その思いはいや増すばかりじゃ」

『…』

「平たくいやぁあんたに惚れた
椿姫…ワシの妻になれ」

『えっえっと…//』

「嫌ですっ姉様!!妖様と
一緒になるなんて言わないで下さい」


瞳にいっぱいの涙を溜めて

私の着物の裾を掴む珱

やっぱり珱は、ぬらりひょん

が好きなんだと思うそれなら私は…



"大丈夫だから安心して?"

そう言って、泣きじゃくる

珱の背中をさすって

あげているうちに珱は静かに眠りについた

日も徐々に上がり始めて朝を告げていた


『すいません、ぬらりひょん
送ってもらっても』

「あぁ…」

『でも行きのようには…』


二人同時に、しかも

眠っている珱を起こさない

ように連れて帰るのは

流石の、ぬらりひょんも

難しいだろうと口にした


「おい、牛鬼」

「何でしょう?」

「ワシが珱姫を持つから椿を頼む」

「わかりました」

『…よっよろしくお願いします』


珱をぬらりひょんに預けると

私牛鬼さんに抱き抱えられた

ぬらりひょんとは違う感覚に

恥ずかしさでいっぱいになり

まるで始めて、ぬらりひょんに

抱き抱えられた時のように

顔が赤くなっているのがわかった。

ふと眠っている珱を抱き抱える

ぬらりひょん達を見て

お似合いだなぁと思ってしまい

また胸が締め付けられるように

苦しくなった。


【2011/07/21】

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