気持ちの〜 | ナノ


第六話.町と新たな出会い


「妖様…今日は来ませんわね」

『もしかして珱は、ぬらりひょんが気になるの?』

「そっそんな事//…」

『(そうなんだ、わかりやすい)珱、かわい』

「私、行ってきますね////
後!私は妖様は嫌いです!」

『(どっちなの?!)うっうん』


多分、珱はぬらりひょんが好きなんだと思う

だったら私はその想いに協力したいと思った。


「よっと、珱姫は行ったか?」

『ぬっぬらりひょん、行きましたよ!(…本当いつも、いきなり現れるんだから…)』

「それじゃあ」

『あっ着替えるので少し待って下さい!』


そう告げれば

部屋まで直行して何時の普段着よりも

随分と軽い町用の着物に着替えた。


『お待たせしました』

「始めて会った時も、その格好だったよな」

『そうですね。基本これを着回しているので…それより…』

「あぁわかっておる…よっと」

『きゃっ//ぬっぬらりひょん?!//』

「ん?こうしてないとバレてしまうだろ?大人しくワシに見をゆだねろ」

『うっ…はい////』


早く町に行きたい為ぬらりひょんを急かしたが

まさか横抱きされるとは思ってもみなかった。

と言うより…恥ずかしい




『あっ珱と父様…気付いていないの?』

「それは…ワシが"ぬらりひょん"だからじゃ!」

『こんなに、堂々と目の前を通っているのに…』

「なぁに誰も気付きはしない、ぬらりくらりと………ワシに身を任してみな」

『はぁ』


そのまま、ぬらりひょんに言われた通り

連れて行かれるがまま身を預けているうちに

見慣れた町の空気に変わっていった。

もちろん、珱にも父様にも気付かれなかった。


「ほれ」

『ありがとうございます…なんだか久しぶり…』

「あ〜美弥子様だぁ!男の人も一緒だぁ!」

『ユリちゃん?!』

「美弥子様この人だぁれ?」

「ん?ワシかワシは、ぬら」

『知り合いのおじさん…だよ!うん…』


もし、ぬらりひょんが

妖怪とばれたら大変な事になるような気がする


「おい、椿…」

『なっ何です?』

「ワシは何時から知り合いのおじさんになったんだ?」

『今だけですから我慢して下さい!』

「何のはなし?…」

『ユリちゃんは気にしないで!』


ぬらりひょんをおじさん呼ばわりしたのは

悪いと少ないからず思っている。

でも、他に言いようが

なかったのだ…ユリちゃんは、まだ小さい為

私達の小声での会話は聞こえてないらしい


「あっそだ!美弥子様
お父さんが妖怪に襲われ
ちゃって怪我しちゃったの治してあげて…?」

『ユリちゃんのお父さんが?…直ぐに行こうか』

「椿、ワシは?」

『ついて来たいなら、ついて来て下さい!』





妖怪に負わされた傷は直ぐに対処しないと

死に至る可能性がある毒等を扱う妖怪は得に…

珱に治してもらえない人は、私が来るのを

待つしかない…。

今の医療技術では妖怪の傷を治す事が

出来るのは多分私達くらい。

私が来なかった数日間でいったい何人の人が

妖怪によって傷ついたのだろう…そう思う

だけで胸が締め付けられる


「くっ!…」

『後少し…頑張って下さい』


ユリちゃんのお父さんの体を淡い光が包み込み

傷口をふさいでいく


「ほぉ…」

「お父さん頑張って!」



『もう大丈夫…お父さん
お疲れ様でした』

「椿様、本当に娘共々…私まで助けて頂いて」

『いえ 当然の事をしたまでです』


どんなにお礼を言われても

珱の様に素早く治癒できないし。

父様がお金儲けで治癒する人を決めるのは

筋違いだと思っているだから本当はお礼

なんかじゃなくてこちらが、ごめんなさい

と言うべきだと私は思う


「すいません…こちらに美弥子様がいらっしゃると言うのは本当ですか?」

『はい…?』

「実は私の家周辺の者が皆ここさいきん未知の病にかかってしまって…どうか美弥子様!助けて下さい」

『わかりました。直ぐに
そちらに向かいましょう』



「ありがとうございます!他の者に代わって言うのもなんですが本当にありがとうございます。」

『また何かあったら言って下さい。私には、これしかできませんので』


それから、回復した

皆さんとたわいのない話をした。

ぬらりひょんの事など忘れて…


『それじゃあ…あっアレ…ありがとうございます』

「いえ、あのような物でしたら何時でも持って行ってくださいな」

『すいません。それでは』

「お気をつけて」

「大変そうじゃったな美弥子様は…」

『あっ………それは何かの嫌味ですか…ぬらりひょん…?』

「ワシを放置してた人に言われたくねぇ」

『別に放置したくて放置した訳では!』

「美弥子様はお忙しいようで」

『何でわかってくれないんですか!もうしりません!』

「おい椿!」

「クン!」

『へっ…くん?』

「ほぉ…三尾の狐じゃな」

『妖怪…ですか?』

「うちの組の者ではねぇが…おい、何処の組のもんだ?」

「クン?」

『…ぬらりひょん、この子まだ話せないんじゃないですか?』

「ク〜ン?」


鳴き声が【クン】しか

言えない?三尾の子狐

どうやら私が焼けになり

進もうとした際に

ぶつかってしまったらしい


『アナタ…怪我してる…』

「おい!むやみに」

『はい治りまさたよ』

「クン!」

『この子は、大丈夫な気がします。少なくとも、ぬらりひょんよりは安心してもいいかと思えます』

「だめだ!もしもの事があったらどうする!」

『もしもなんて起きません!アナタ…私の所に来る?』

「クン!」

『ほら彼女も、こう言ってますし?』

「コイツは男じゃ…」



『へ?…男の子?』

「明らかにな」

『あ…まぁ可愛いから許しましょう』

「クン!」

『名前が必要だね?』

「おい」

「クン?」

『えっと…』

「勝手に話を進めるんじゃねぇ!」

『いっいきなり何なんですか!』

「アンタがワシの話を聞かずに話を進めるからだ!」

『ぬらりひょんが、この子を否定するからでしょ?!』


状況を理解してない

この子は私に擦り寄ってきて

それはそれは可愛い!


「それはコイツが何に化けるかわからんからな」

『狐なんだから変わるかもしれませんね』

「…ハァ…」


私の意見を聞いて

飽きれたのかぬらりひょんは

眉間にシワを寄せて大きなため息をついた


『ちょ…溜め息なんて止めて下さい!幸せが逃げちゃいますよ?!』

「既に逃げている気がするがな…」

『もしかして、私達のせいですか?』

「いや、コイツのせいじゃ」

「クン?」

『…ぬっぬらりひょんは道端にいるか弱い生き物を平気で見捨てていいと思ってるんですか?怪我をしていたんですよ?!それでも見捨ててしまうんですか!!』

「それでも、椿じゃ飼えんだろ?」

『ど…どうしてですか?』

「いま椿の家には
陰陽師が沢山いる。それにコイツは妖怪だからな妖気くらい出すじゃろ」

『あっ…』


いま私の家には珱の護衛と言っていい

陰陽師の人達が父様によって沢山出入り

している。この子が見付かれば

直ぐに滅せられるかもしれない


「だから…」

『嫌です!』

「まだ何も言ってないだろうが」

『どうせ、離れろとか言うんでしょ…?』

「…ワシが預かってやるよ」

『え?』

「そうしたら、椿がワシの所に来る時は何時だって会えるだろ?」

『良いんですか?』

「あぁ」

『イジメませんか?』

「あぁ」


ぬらりひょんに預けるのは…

かなり不安だからしつこすぎるくらいに

大丈夫ですか?等と問い掛けた。でも

ぬらりひょんはその問い掛けに

全て短いけれども返事をしてくれた。


『ありがとうございます!』






『それじゃあ、帰りましょう』

「もう、用は無いんだな?」

『はい。お陰様で』

「じゃっ行くか」

『わっ//何でこの体制になるんですか!////』

「コイツが居るからしょーがねぇだろ?」

「クン」

『うっ…//』


それから家に送ってもらった私は

ぬらりひょん達と別れて珱に心配したと

泣かれてしまって…でも、父様達には

言わないでくれたみたいだからよかった。


「椿姉様。本当に私は…珱姫は心配致しました」

『ゴメンね?今度からは
ちゃんと言うから…そうだあのね珱、今日町で可愛い子狐を見つけたの!』

「狐?ですか?」

『珱はまだ見た事がないんだよね。いまはぬらりひょんの所に居るんだけど』

「妖様の所に?」

『うん家だと陰陽師の人達にいつ、滅せられるかわからないから』

「その子も妖怪なのですね?」

『うっうん…嫌いになった?』

「いえ、ただ少しだけ妖様や妖怪に姉様を取られた気分で…っ」

『大丈夫、私が珱のお姉ちゃんだって事は変わらないから』

「はい!」


ぬらりひょん達に私を取られと思って

涙を流した珱は綺麗だった

…それに泣いた顔も可愛いと思った。


『まだね?その子の名前
決めてないから一緒に考えてくれる?』

「もちろんです!あっ…それと町のお話も聞かせて下さい」

『いいよ』




おまけ



一方ぬらりひょんは…


『今帰ったぞー』

「総大将!何処に居っておられたんですか?!毎晩毎晩居なくなってそれに…」

「総大将…ソレは何です?」

『ん?コイツか?』

「クン!」

「京の妖怪ですな?」

「クン?」

『あぁコイツは今日から、ウチの組に入った仲良くしてやってくれ』

「はっはぁ…」

『あっ(椿には預かるとしかいってなかったか?)…まぁいい』

「どうなさいました?ぬらりひょん様?」

『なんでもねーよ』




【2010/10/16】

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