赤司くん。
黒子くんたちのチームメイトで、バスケ部の主将。とっても頭が良くて、眉目秀麗とか容姿端麗と品行方正とか詳しい意味は分からないけど、そんな言葉は彼のような人を指すんだと思う。
そんな彼は、なんというか、たいそうモテる。
そりゃ頭が良くて、かっこよくて、あとバスケ部だから運動もできる、なんてまるで理想を詰め込んだみたいな。
…だからって、これはなぁ。
手のなかにある数枚の便箋を見て苦笑する。
何人かの女の子たちに渡されたもの…いわゆる、ラブレターというやつ。ぞんざいに扱うなんて、とてもできないから、折れたりしないようにそっと持つ。女の子(見知らぬ子もいたけど)の想いが入ったものだから、とかちょっとポエミーに言ってみる。
「赤司くん、ちょっと良いかな?」
恐る恐る、帰ろうとしているみんなのなかにいる赤司くんを呼び止める。
こちらを振り向いた赤司くんのきょとりと瞬きを繰り返す目は相変わらず綺麗で。
紫原くんじゃないけど、なんだかあめ玉みたいだと思った。
「えとね、これ」
「!…ラブレターじゃないスか、それ!」
「なんでお前が反応してるんだよ」
「あはは……、これ私からじゃなくてね」
みんなから、と控えめに言えば、黄瀬くんは思い当たるものがあったらしく、大変スね、と笑った。それに同意するように頷く。
やっぱり、黄瀬くんもモテるんだなぁと思わざるえないというか。
「ごめんね、帰るところ、呼び止めちゃって」
「構いません。…先輩も飽きないですね。断ればいいのに」
「…そうなんだけどね、」
赤司くんの言うこともごもっともかもしれない。
だけど、こう、必死な顔をして、お願いしますと渡されると断るのは結構大変で、最後には受け取って渡す、という郵便屋さんみたいなことになってしまう。
それに、最近、ちょっと得をすることがあると気づいた。
「でも、こうやって郵便配達してたら、赤司くんと話せるし」
「…え?」
「ほら、赤司くんって主将だから忙しいでしょ?黄瀬くんとかとならいつも話せるんだけどね」
いつも赤司くんは緑間くんや紫原くん、黒子くんと話している。あとは、桃ちゃん。
付き合いは彼らの方がずっと長いけど、やっぱりちょっと羨ましいというか。
赤司くんはバスケについて、いろんなやり方とかゲームを教えてくれるから、欲を言えば、私も、もうちょっと赤司くんと話してみたい。
もちろん、みんなの話もとても面白いし、楽しいんだけど。
女の子たちの想いが綴られた手紙を渡したとき、ついてくるおまけは私にとったらとても大きなもので。
それだけで、すごく嬉しくなる。
我ながら子どもっぽいなと思うけど、子どもだから良いかな、なんて。
「だから断れないや」
難しいことなんて何一つない
赤司くんとの話ですがおまけにキセキがつきました