※キセキーズ設定
綺麗な金髪を持つ彼の腕の中にいた。
え、と固まる私にいつも聞いてる声より少し低めな声が落ちてくる。
「好きなんです、大好きなんです」
「え、…え、ちょ、黄瀬く、ん?」
「なまえ先輩のこと、すごい好きなんです」
彼の顔は見えなくて、ただじんわりと熱が伝わってくるだけで。なんだか、それがどうにもかわいい。小さく笑えば、黄瀬くんの肩がびくと震えたから、安心させるように彼の広い背中をとんとんと叩く。
「私も、好きだよ」
黄瀬くんが私を好いてくれてることは、けっこう前から知っていた。というか、あれだけ言われたら誰でも分かるというもので。
なんで好かれたのかは今一つ分からないけど、好きだ好きだと飛び付いてくる様が人懐こい近くの犬に似ていたから、無下にもできないで。彼と犬を比べるのは少し、いや、だいぶ失礼だったかもしれないけど。
けど、試合の最中や部活で青峰くんとミニゲームをしてるときとかはそんなの微塵も見せないものだから、そこにころっとやられたわけだ。
「ちゃんと幸せにしないとねー、黄瀬くんのこと」
みんなが大好きなモデルさんを彼氏にもらってしまうわけだから、と真面目に言ったのに、黄瀬くんはへにゃりと笑って「俺のセリフっすよ、それ」顔を赤くしていた。とりあえず、額にキスでも落としておこうか。
「ってことで、黄瀬くんと恋人さんになったんだよね」
「はいッス!」
「…それでいいんですか、黄瀬くん」
少女漫画的展開を要求します