ぼんやりと外を見つめながら思考に浸る。教科は苦手な社会科。だからこそ、聞かなければいけないのだけど苦手は苦手。聞く気にもならないし聞いていてもさっぱり分からなかった。 その時、世界がぐにゃりと混ざる。 「は…?」 真っ白に成り行く世界。 ああ、これは。 ** 「なまえ!」 がくん、と肩を揺らされ目を覚ました。 なんだなんだと世話しなく辺りを見回せば、目の前に紺がいた。学校の、懐かしい風景なんてなにひとつない。紺も紺だ。紺はいつも落ち着きを払っている表情をいつになく険しい顔で私を見ていた。 「えーと…………何してんの?紺」 「……あのなぁ、」 お前が魘されてたから起こしたんだ。 何もないなら良かった。そう小さく笑った紺。 ああ、ここはあまつき=B あの世界ではないのだ。 何もなかった世界ではないのだ。けれど、どこかあの世界を懐かしく思う私がいる。 先ほどの夢のせいだろうか。 「…なまえ?」 「え?あ、なんでもないよ。…なんでもない」 誤魔化すように笑った。 そう、ここはあまつき。 私は今ここに生きている。あの世界に依存してはいけない。 私は白沢。 未来を変える、変えうる存在。 逃げてはいけない。 す、と紺に手を伸ばす。紺は一瞬戸惑った顔をしたけども、苦笑いして大丈夫か?とその手を取った。 逃げてはいけない。 逃げるつもりもない。 ここにはたくさんの大切なものがある。できてしまったから。 それでも。 「無理すんなよ?お前のほそっこい体じゃ全部背負えるわけねぇんだから」 「…うん」 甘えてしまう私を許してください。懺悔する神などいないけど。 繰り返し繰り返し原罪の遺伝子はウテルスの深海にて肥大する 遥様へ捧げます。鴇成り代わりで彼岸の夢を見る夢主、でした。大丈夫、ですかね?企画参加ありがとうございました!! |