××企画 | ナノ


*この場所で番外


幸せ、なんだろう。

「ロマーノ!そっち行った!!」

「うぉ、あ!待てコノヤロー」

「待てって言って待ってくれる相手じゃないよ」

ばたんどかんと騒がしく走り回る。その先には黒と白の猫。ロマーノが見つけて、飼って困ることもないし飼おうかという話になったまではよかったんだけど、いざ首輪を付けようとしたら逃げた。しかも部屋中を。もう花瓶が二つも犠牲になった。

…オーストリアさんになんて謝ろう。泣きたい。

「いってぇ!」

「ロマーノ大丈夫?」

はぁあ、と溜め息を吐きつつロマーノの悲鳴がした方に行けばにゃご、と何かが飛んできた。…何?

見ればそれはあの猫。
なんで飛んできたんだろうと猫を見つめれば、今度はロマーノがバタバタと駆けてきた。

「なまえ!捕まえたか?」

「あ、ロマーノ。うん、捕まえたよ」

「…なんでお前のときは大人しいんだよ」

「そんなこと言われてもねー」

苦笑いしながら、ねぇと猫を見れば猫もにゃあと鳴く。言葉が分かるのかなだろうかとファンタスティックに思いながら猫をロマーノに渡す。

なにもしないでくれよと願ったが猫は見事に行動を起こした。

「ぎにゃ」

「いってぇ!!なにしがる!」

「また逃げた…」

私の呟きとロマーノの悲鳴が重なる。
待てと先ほどのように猫を追いかけていくロマーノに苦笑いしつつ、平和だなぁと呟いた。

「…うわあ、割れたな」

「なまえ──!」

「あー、はいはい」


再び鳴った陶器が割れる音に私はまた歩き出した。


幸せなんだろう。
こんなにも楽しいのだから。



もうかなしいことはいわないよきみがかなしむとこをみたくないからね





匿名希望様へ捧げます。
スペイン成り代わりでロマーノとほのぼの、大丈夫ですかね?一応この場所で、の番外ですが短編でも読める、はずです。企画参加ありがとうございました!!