ハロウィーン小説 | ナノ
へらへらさんと神木さん(7/9)

奇妙なものを見てしまった

「可愛いでちゅねー?」

「………」

今現在、俺の視界には一人と一匹がいる。一人は神木で一匹はたしか奥村(兄)の使い魔のクロ、だったか
別にそれは可笑しくはない。いっさい可笑しくはない。むしろ影からこっそりあいつらを見てる俺の方が可笑しい
…なんで隠れなきゃなんないんだ

いや、でもあの神木が赤ちゃん言葉?あり得ない
神木は普段から高飛車というか、まあプライドたかいし、つまり今の光景はシビアすぎる

…戻ろう
祟らぬ神になんとやら、だ。あ、触らぬ神か?まあいいや

が、

にゃあ

「っ、あんた!!」

なんというデジャブ
ひきつった笑みのままぎこちなく振り向けば足元にはクロ。そしてこちらを射殺す気かというほどきつーく睨んでいる神木
祟る神にさわってしまった。逃げたいが、クロが抱っこと言うように足にしがみついている。いつの間になつかれたのか
だが俺の両手は菓子オンリーだ

「よ、よぉ」

ひとまず、クロから神木を見る。逃げても無駄だろうからな
伝う冷や汗は誤魔化せないが

神木の視線もキツいまま


「あ、あんた…へらへら男ッ!見てたの?!」

叫ぶ神木
へらへらさんはへらへら男になりました笑えない
否定もしないが
まさか神木にまで浸透していたとは

さて、ここでなんと答えよう。見てたか見てないか答えは見た、だ
けれどそれを答えようものなら何かがありそうだ。悪い意味で

はあ、ついてない

「…すまん…!」

「っなに?…って」

俺は第三の選択をした
逃げるという中途半端な
ついでにたまたまあった南瓜のかごに菓子を詰めたものを某携帯獣のけむりだまよろしく投げて

お菓子を減らせたのでよしとする

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