ハロウィーン小説 | ナノ
へらへらさんと京都組(6/9)

理事長にお菓子をいくらか押し付け、寮に戻るために廊下を歩く。全部押し付ければ良かったかもしれないが、なんだかあいつにはやりたくなかった。名残惜しそうにしていたあいつはいい気味だ
あいつが俺の保護者だと思うといやになる

そんなことを考えつつ、お菓子のひとつを口に含む。そこにちょうどいいやつらが見えた

「お、きょうほぐひ」

「…何してるんやお前」

振り向いたのは見た目ヤンキーな勝呂。横には志摩と三輪がいた
志摩は俺を見て相変わらずにへら顔やねと人のことを言えない笑みを浮かべながら言う。失礼な

ひとまず菓子を飲み込む
と、勝呂がどうやらお菓子に気づいたようで、少しだけ目を剥く。このお菓子は気づかれにくい仕組みでもあるのか

「おま、なんやその菓子」

「クラスのやつらから押し付けられたやるからありがたくいただけよ」

に、と笑みを添い付けて言ったのにいらんと拒否られた。地味に傷つく
代わりに三輪が少しだけ貰いますと小さく笑って言ってくれたので、まあいいか

「で、志摩、勝呂。お前らも貰ってくれるんだろ?」

「なんでそうなるんや」

「貰ってくれるんだろ?」

にへらと笑う。二人が言い澱むのが分かった。へらへらさんなんて呼ばれているが笑みっていうのは便利なもので奥村(弟)のように威圧感がある笑みはできないが、まあ笑いなれてるから

二人はしばらく固まったのでその手に無理やり菓子を押し付けて走り去る

あでぃおす

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