ハロウィーン小説 | ナノ
へらへらさんと理事長さん(5/9)

「まいったな」

今日何度目かの溜め息とともにそんな呟きを溢す。大量のお菓子を持って溜め息を吐くの姿はかなり奇妙だろう
祓魔塾は休みだと理事長から連絡があったと言われたせいだ。何でも緊急の任務があったらしい

その時こちらを見て薄く笑う理事長はかなり不気味かつイラついた。あの隈どうにかならないものか。不気味さに拍車がかかってしまっている

挙げ句のはて「アインス ツヴァイ ドライ☆」「うがっ」…なんなんだ
頭にどかんと衝撃が来てつんのめり、顔から床に激突した。鼻が痛い。誰が犯人なのかはあの珍味な呪文から分かっている

「何するんだよ、理事長」

「いやぁ、名前さん。育ての親にずいぶんと失礼な口調じゃありませんか?へらへらさん」

「あんたに育てられた覚えはないって。つうかお前までへらへらさんって…」

「だって私が広めたんですから」

…ひとまず、星を飛ばしながら言ってのけたこいつを殴りたい
育ての親と認めたわけじゃないが、一応あの家庭から俺を引き取ったのはこいつだしな。だからといってへらへらさんとあだ名を広めるとは何事だこいつ如何してくれよう

ひりひりとする鼻を押さえながら理事長を睨めば、周りにふよふよと浮かぶ大量のお菓子が視界に入る。わーこんなにあったんだ

散らばらなかったことだけはこいつに感謝する

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