ハロウィーン小説 | ナノ
へらへらさんと杜山さん(4/9)

「何してるの?」

不意に降ってきた声に俺とツインズは否応なしに顔を上げた。そこには色素の薄い髪にまるっこい目を持つ少女

「杜山か」

「名字くん、こんにちは。燐もゆき…先生も」

「お、おう」

「こんにちは、杜山さん」

杜山が現れた瞬間、狼狽し出す奥村(兄)が面白い。青春ってやつだなと笑うと奥村(兄)に睨まれた。なんで俺だけ。奥村(弟)だって笑ってるじゃねえかよブラコンめ
気づかない杜山は鈍い
まあ、それがまた面白いんだが。ひとまず、杜山にもお菓子をもらってもらわないとな

「杜山、これもらってくれ」

「わ、すごいね」

相変わらず小さくならないお菓子の山を指差せばまるっこい目をさらに丸くする杜山に苦笑いに似たそれが浮かぶ
素晴らしいくらいに鈍いな。今まで気づかなかったのか。まぁ、杜山らしいよな

「…もらって、いいの?名字くんのじゃ…」

ひとまず誤解。これは押し付けられたやつだ
そう言えば名字くんは人気者なんだねと朗らかな笑みが返ってきたがそれこそ誤解だ

人気者に「へらへらさん」と変なあだ名つけて嫌みったらしい笑みを浮かべてお菓子を押し付けない
押し付けられたと言ったのに人気者と繋げる杜山のお花畑な脳がすごい


それでももらってくれそうなので良いとするか

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