日向成り代わり | ナノ
勝ったときはもちろん嬉しい。けれど、どうしても和気藹々と喜ぶのは自分には向いていない気がした。
なんというか、端から見ている方が自分らしい。だから端からぼんやりと喜び合うチームメイトを見ていたのだけれど。同類がいたらしい。

「…黒子?」

「どうも」

「なんだ、喜んでこねぇのか?元最強のキセキに勝てたんだろ?」

「それは先輩も同じでしょう」

「…まぁな、」

横に並んだ黒子に曖昧に頷く。黒子は珍しく緩まった表情をしている順を盗み見る。
ああ、この人もこんな顔ができるのか。大人びた端正な顔は本人も無自覚だろうが、なんとなく柔らかく幼く見えた。あの、たまに鉄仮面と言われたこともある、彼の顔が。嬉しいのは彼も一緒なんだろう。


「素直じゃないですね」

「?」

こんな日くらい部長という肩書きを忘れても構わないだろうに。
なんて、黒子は小さく笑った。






(まぁ、あなたらしいです)

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