込み合い戦争となっていた購買で何とか買ったパンにかぶりつきながら歩いていると、順の携帯がなる。着信音からしてメールか。順はパンを口に押し込むと、携帯を取りだし開く。予想通り、メールだった。誰からだ?などと考えながら携帯のディスプレイを覗き 「…知らねーよ」 ポツリと呟いた。 「いきなり呼び出しとか、ないよな」 俺、飯途中だったんだけど そう愚痴りながら順は階段を上がる。カンカン、と誰もいない階段にそんな音が響く。向かう先は屋上。 順は踊り場に着くと、屋上の扉を開けた。そして、呆れ半分に目の前に見えた背中に言う。 「何してんだよ、 木吉」 その声に広い背中の彼は振り返る。 「よう」 笑顔で。 *** 「いきなりどうした?」 木吉の横に並ぶと、順はそう問い掛ける。 「いやー、なんか話したいと思ってな」 「…だったら俺じゃなくていいだろ?」 「まぁ、いいだろ」 「そのいいだろのせいで俺は昼飯の時間が削られたんだが」 「気にするな」 「気にするわ」 木吉の頭を叩く。すぱん、と軽快な音が響く。木吉は痛いな、と笑う。痛くないくせに、と順は思ったが口には出さなかった。その代わり、はぁ、と溜め息を吐いた。 (この変人が) 今でも時たま後悔する。 なんでこいつの話に乗ってしまったんだろうと。バスケは嫌いではないし、本気ではない。が、思わずにはいられない。それを前に同中の彼に言えば、笑って「それが日向だよ」と言われた。それが自分とはどうゆうことなのだろうか。彼にしかわからない。 「で、何話すんだ?」 「え?」 「だから、話すために呼んだんだろ?もう昼休み終わっちまうぞ」 だから早く話せ そんな意をこめて言えば、木吉はしばらく真面目な顔になって黙った。そんなに重要なことなのだろうかと順は考えながら木吉を見つめていた。数分考えたあと木吉は順の方を向き、言った。 「何話すか忘れた」 「───……は」 その言葉に拍子抜けする順。あまりに突拍子なことで、そんな言葉しか口からは溢れなかった。 そして、それは昼休みの終了を告げるチャイムにかきけされた。 一拍後、「馬鹿かお前は」と順は木吉の顎にアッパーを決めた。 相変わらずすぎる日常 (だからこそ好きなんだ) |