フリリク企画 | ナノ



( 君の瞳とその奥と )


みゃお、にぁ、にゃん、わぅ
十人十色、まぁ人それぞれ個性があって違うという意味だったはず。それは人間以外の動物にも当てはまる。キリンだってあの網目模様は個々で違うというし、目の前でにゃんにゃんと戯れる猫の鳴き声も三者三様だ。ついでに狼。俺の耳は便利なもので、どこかの猫型ロボットなんかに頼らなくても動物の言葉が分かる。動物も原理は知らないけど、俺の言葉を理解できているらしい。これは俺が犬猫並みなのか、こいつらが賢いのか。
まぁ、認めがたい。

「にしてもよく入れたな。ここ、上田城て言って難攻不落なんだぞ」

「うにゃ」

「わぅ」

「いや、そうじゃないけど…」

「うな!」

「おん」

「うん分かった好きにしろ」

言うな猫と狼よ。
なうなうにゃ。わん。
他者から見れば俺がとち狂ったように見えるかもしれないけど、会話はしている。かなりばかにしているのは他人が見ても分かるかもな。この見下したまるで女帝のような目。そして慰めるような目。
やるな。に、と笑えばにゃんと愛らしく鳴く。さっきまであんなに挑発的だったというに。まさに猫かぶりじゃないか。
いつの間にか飛び乗ってきた猫にタマなんてネーミングセンスのない、どこぞの海家族の飼い猫みたいな名前をつけてお前はタマだと言えばなんたることか、ミケがいいといいだす。
いや、お前白猫じゃん。タマじゃん。とは思えど、別にタマでもミケでも構わないし、本人がいいならとミケと呼べば、なう、と鳴いた。
そしたら狼が今度は理央がいいと擦り寄ってきて猫に猫パンチを食らっていた。キャインと鳴く声がなんだか可愛いような。そしてはたと気づく。周りを見てみれば朱刃や蒼刃、それに雨春たちが集まっていてさながら小さな動物園のようだった。半端ないな自然。



「相変わらずすげぇな、て、んだよその猫と狼」

「才蔵、理央とミケだ。ちなみに猫がミケだ」

「はぁ?理央はいいとしていや、それ白猫…」

「ミケだ」



上田城に猫が増えました


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