フリリク企画 | ナノ
( 石橋は叩いて壊して回り道しろ )
悪い夢を見た。まだほの暗い朝のことだった。おかげで今日の気分は最悪で会議のときも一言も発言しなかったし、何か言いなよと星を飛ばしながら言ってきたアメリカを殴り捨ててやろうかと思ったくらいだ。ええ、殴りませんでしたが。正確にはフランスとプーちゃんが止めなかったら殴ってただろう。
つまり私は今それくらい気分が悪い。むしろ機嫌か。
「なぁ、なんでそんなに機嫌悪いんだよ、お前」
「そうそう。なんかあったの?お兄さんが相談に乗ってあげようか?」
そして今、絶賛構われ中だ。目の前には悪友二人。私の機嫌を治そうとしてくれているのはにぶちんではない私にはもちろん分かる。君たち気づいてないだろうけど口元ひきつってんのよ。当たり前ながら私はそれをありがたく感じながらも簡単に治してあげるような可愛いげはない。治らないし。
「なんでもないよ、うん。なんでもないのよ」
「氷噛み砕きながら言われても」
「じゃあフランス噛み砕くー」
「やめて!お兄さん死んじゃうから」
「じゃあプー「やめろ」」
じゃあどうしろと。
はぁあと溜め息を吐けば、フランスがじゃあ待っててとウィンクをして歩いていった。なにすんだろ。
そう思っているとフランスが早々に戻ってきた。その後ろにはロマーノ。
苛立たしげにフランスを見ていた。うん、それだけ。
「……ロマーノだ」
「うわっ。ヤバいぜ。名前がロマーノ見て興奮しねぇとか」
「だまれ髭私はいつだって平常心だカス」
私はいつだってロマーノを愛してるんであって興奮なんかしてないし。
「口悪ッ泣くよ?泣くよ?」
「気持ち悪いから止めて。さぁロマーノcome here」
笑みを浮かべて手をロマーノに伸ばしつつ、うじうじしはじめたフランスを連れていけとプーちゃんを見ればはいよとフランスの襟をつまんで出ていった。賢明ね。
「……相変わらずだな。つうかどうかしたのか?」
「ん。なんでもないよ?」
「うそつけ」
歩み寄ってきたロマーノに頭を撫でられる。立ってもロマーノに身長は届かないから座っているとさらにだ。見上げると少しよった眉が見えた。……まじ可愛い。口元が緩むのが分かる。
「まさか心配してくれている?」
「う、うるせー!」
「そっかそっか。ありがとうロマーノ。本当になんでもないよ」
嘘じゃないよ、ロマーノがいれば最悪な夢とか髭とか消えるし。
笑いながら言って抱きつく。わたわたして赤くなるロマーノは本当に可愛い。
それでも撫でてくる手がなくならないのは流石だなぁ。
「っていうか、なんで今日機嫌悪いんだよ」
「いやぁ、やな夢見てさ」
「やな夢?」
「イギリスとちゅーする夢」
「……イギリスころす」
わぁヤンデレ。
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