フリリク企画 | ナノ
( この時が止まればいい )
金兄!そうほわりと幼子独特の笑みを浮かべる名前にだらしなく表情が緩む。五歳とそこそこ歳が離れている妹はまだ小学生になって一年も経っていないものだからまだ甘えたで無下にはできずついつい甘やかしてしまう。
理由はそれだけじゃなくて、いつもこの目の前の妹が自分じゃなくて柔兄に甘えて、情けないがこちとら寂しいのだ。
手を伸ばしてくる名前を柔兄みたいに抱き上げれば名前はまた笑う。なんだかさっきより大人っぽかった。でもその体はまだまだ軽くほそっこい。
「どうしたんや?名前」
「あのね、柔兄がたまには金兄と遊んだれって。それでそういえばそうだなぁって」
だから。
またあのふんにゃりした笑みを浮かべた名前。
柔兄に、というのがなんだか悔しい気もしないでもないがこうして甘えてくれるのだから悪い気はしない。そかそかと笑い返せば名前も真似てそかそかと頷く。まだ意味もちゃんと理解できてないとことかガキやなぁ。
むっちゃかわええ。
たまらず小さい体を抱きしめれば(家族愛であって変態の意味はない)、名前もどうしたの?なんて言いながらもすべすべな頬をすりよせてきて甘い匂いがした。
「あめちゃんでも食うたんか?」
「うん!もらったの。林檎だよ。金兄もいる?」
「くれるんか?」
「あげるよ、ほら」
丁寧に包み紙をほどいて赤色のビー玉みたいなそれを差し出してくる。それを受け取り口に含めば甘さが広がる。
「おいし?」
「おん。ありがとな」
「うん!」
何度目かの笑顔。そして抱擁。再び広がる甘い匂い。むっちゃサービスやこれ。
そせういやさっきの目の前で太陽みたいな笑みは輝くようだった。いつもこんな笑顔を見れるなんて、なんだか柔兄がなんだか羨ましいわ。
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