フリリク企画 | ナノ



( たった二文字の地球論 )


もうなんなのこいつ。美人過ぎる。とか、これはのろけではない。名前は美人だし性格いいし、むちゃくちゃモテるから事実だ。俺も青春真っ盛りの高校生で脳内なんかピンクだ。俺だけじゃないし。
しかもそんな名前にこの前告白された。2秒で告白をOKしたのはこの先こいつだけだと思う(その時の名前はめちゃめちゃ可愛かった)。つまり俺とこいつは恋人というやつで、だから、つまり。
目の前でこう恋人が無防備に寝ていたらムラムラしてくるだろ。俺だって男なのだ。
しかも二人っきり。スイッチは用事があるらしく、出払っている。そう、二人っきりなんてオプションがついてきたらムラムラしないほうが無理だ。変態?なんとでも言ってくれ。こいつが悪い。

「ん…─」

ころり、と転がるたびに溢れる声とか。流れるさらさらな金髪とかスカートから伸びる白くて細い足、とか。
あれ、俺マジで変態じゃね。
それでも体というか気持ちというか男の性というやつは俺の心臓はマックスハイテンションである。

加えて、「ボッスン…」なんて寝言で呟かれてときめかねぇ男はいないはず。なに、俺夢に出ちゃってるわけ?やべ、にやける。だから今一度言う、俺は悪くない。名前が悪い。
しかも声音がいつも怒鳴り散らしてツッコミしてきたりサイクロンでぶん殴ってくる、鬼姫なんて呼ばれてたやつの声とは思えないほど違っててなにこれギャップ萌ってやつですかぁああ!?

そう何度でも言おう。
俺は悪くない!

またころり、と寝返りをうつ名前。ぷっつりしそうな理性を繋ぎ止めながらそれを眺めている、と。

「うにゃ、ボッスン…」

「?」

「ボッスン…死ねぇい!」

「あべし」


ちょっとこいつなんの夢見てんの。


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