32.少女の幻想 あるところに少女がいた 少女は一人だった 見えないものが見える たった、それだけで 周りのすべてから、拒絶された そんな少女に、一匹の悪魔が囁きかけた 「友達が欲しい?」 いつもアナタの側にいてくれる。アナタを一人にしない、友達が 少女は頷いてしまった 頷かないわけなかった もうこんな想いをしなくてよいのなら 少女はその伸ばされた手を取った。悪魔だと知らずに 少女と悪魔は、笑う 偽善者は言う。この世に正しい正義などはないと 聖職者は言う。この世に偽りの善意などはないと 犯罪者は言う。この世は欺瞞と希望に満ちている 少女は言う 私はもう、一人じゃない 口元が三日月に歪む 悪魔が少女の手を掴み、笑う 「ずっと一緒にいてあげる。だから、」 私のお願い聞いてくれる? 少女は頷く それが契約だとも知らずに この闇から救い出してくれるなら、悪魔でも構わないと思ったの さよならリトルガール (その少女はどこか俺に似ていた) prev:top:next |