成り代わり | ナノ
ボッスン成り代わり
「好きだ、藤崎」
顔を真っ赤にされて、唐突に言われた。相手は先日生徒会長様に就任した椿。
そんでもって、私の双子の弟。まぁ、彼は絶対に認めようとはしないけど。私だって認めないもんね。
で、好きだってなに?
私に言ってるのか?…藤崎、つまり私か。
なにこれ告白?
「えーと、それはつまり…私に言ってるの?」
「貴様しかいないだろう!」
生意気だなオイ。仮にコクった相手に貴様とは何事だ貴様。下睫毛抜いてやろうか。
貴様呼ばわりされイラッときたが、身長がさして変わらない椿を見れば今にも泣きそうで顔は羞恥からか真っ赤にしていてなんかいじめてるみたいで嫌だ。可愛いけど。なにこれ私が悪いの?
対して私は冷めに冷めている。ひとまず気持ちは落ち着いている。
…どうしろっての。
別に椿は嫌いじゃない
たしかにむかつくことはあるし一々癪なことをしてきたりするし、無駄に張り合ってくるけど。
でも、努力家だし、それなりに役に立つし…。
それに、何か憎めない。
やっぱり、双子だからかななんて思う。
双子だから、それが結構問題なんだけど。
双子、つまり私達は兄弟だ。…まぁ、世間体とやらを気にするとね。ましてや椿のこと。そんなこと承知の上なはず。
それでもコクってきたこいつは勇者かなにかか?
でも、断れない私も相当だ。だって可愛いし。ハッ、これが姉馬鹿なのか?
「…なに百面相しているんだ」
「はは、考え中なんだよ」
「……」
考えてる。そう言えば椿も少し落ち着いてきたのか私の言葉を待っている。
…たぶん、私は彼に恋愛感情は抱くことができないだろう。それは兄弟だからって意識のせい。それでも私は、なんというか彼に悲しんでほしくないなんていう生易しい感情は抱いてしまうんだから笑える。
「えっと、」
何も欲しくないなんて強がってみても結局最後まで居座るのは寂しいって感情だけ
精一杯の愛を
(ひとまず友達から始めませんか?)
……
アンケートより
なにこれ意味不