成り代わり | ナノ
しえみ成り代わり
弱いなんてことがこんなに嫌なことだったなんて思いもしなかった。
私は祓魔師…の候補生。
しかもかなり落ちこぼれというやつだ。
一時はみんなを守れて舞い上がっていた時もあったけど、今はどん底だ。
だって、私、燐に怒鳴った。八つ当たりした。
燐のこと、雪ちゃんのこと、何も分かってなんかいなかったのに、そんな自分が嫌で悔しくてそれでも私を貶したりしない燐に申し訳なくて。
悪いのは私、なのに。
少しは近づけると思ったのに。今なんか鼈と月みたいな差があるように思えた。
遠くて遠くて、どんなに手を伸ばしても届かないくらい。
あの時、私は大丈夫だから、気にしないからとでも言えば、少しは燐を傷付けなかったのかもしれない。
…悔しいよ。
そう泣きたくなる気持ちを堪えて我慢する。泣いちゃダメ。ここには皆いる。
心配かけてしまう。それに、私より、燐の方がずっと辛い。
「…兄は……なので…」
雪ちゃんの言葉が遠くなる。
…燐、どうしてるんだろう。私は燐にどんな顔をして会えばいいの。
ああ、でも、まず謝らなくちゃ。
私を助けてくれたのも燐
『名前!大丈夫か?』
今までずっと守ってくれたのも燐
私はそんなあなたを傷つけた。
あなたはきっと泣いていた、私はただ見てみぬふりをしていたけれど
嗚呼、ごめんなさい
こんな私を許さないで
(それでも優しいあなたは許してしまうのでしょう)
……
アンケートより