成り代わり | ナノ






麻衣成り代わり




ほぼ独白狂愛



霊が見えること、それは私にとってはある意味ありがたいものだった。

霊が見える
彼と、同じ立場に立てる
なんて素晴らしいんだろう

もともと、私はそういう類いのじゃないから、力は彼に遠く及ばないから対等ではないけど。
彼の役に少しでも立てるなら全然十分。力は修行すれば、少しは強くなるわ。それくらい、苦じゃない。彼を、守れるならね。

彼は唯我独尊で傲慢で、でもたまに見せる優しさがある。私はそれに救われた。独りぼっちだった私に、家族をくれた。

私は彼が、好きだ。

それが家族愛とやらなのか、恋愛なのか友愛なのか。検討なんてつかない、つかなくていい。だって気づいてしまったら彼の側にいるのが辛くなるだけ。居場所だって壊れてしまうかもしれないの。
好き、おおざっぱだけどそれでいい。彼が、ナルが好き、その事実は確かにあるのだから。──独占欲が。

だからね

「なにそんなところで突っ立ってるんだ、名前」

「いーの。」

「…まぁ、いい」

「そうそう。邪魔はしないから」

君がいる時点で邪魔なんだが


笑みを浮かべて言えば首を傾げながら再びデスクに視線を落とすナル。聞こえた呟きはいつものこと。名前って呼んでくれただけ、十分。

私はただそれを見つめている。なにも、しない。
だから、せめてあなたを見つめさせて。ずっとがいいけど、今は。

ホントは愛しくて愛しくて、私のものだけにしたいけど、それじゃあなたは不幸せでしょうから。
見つめているだけ。


我慢できてる私はエライでしょ?

だからいつかごほうびくださいね。


ああ、でも早くくれないとあなたのこと食べちゃうよ?




捕食者の憂鬱
(愛しいキミのことさえも、食べたくて仕方がないんだ!)

……
アンケートより