成り代わり | ナノ






シュラ成り代わり




聖騎士…もとい、獅郎が死んだ。そう訃報が入ったのはつい先日のこと。
三賢者はもう次の聖騎士を探している。…虫酸が走る。

…私達は結局、道具なんだ。悪魔を祓うためだけに作られた。だから、あっさり壊れてしまう。

ギリリと歯を噛み締める。結局道具でしかない、従うしかない自身にも、嫌気がさす。

ーー名前

そう呼んでくれるあの人はもういない。あの暖かい声も、私を救ってくれたあの手も、今はもうない。
呼んでくれる人はいる。でも、違うんだ。

あの人じゃない。あの人にはなれない。

ぐるぐると渦巻く喪失感。ああ、こんな気持ちになるんなら、謝っておけばよかった。
今さら後悔しても謝る人なんかいなくて、ただ喪失感が埋め尽くす。

悔しくて、悲しくて、どうしようもなくて。
ただ、嘆くしかなくて。


「くそ…ジジィ…」

なんで残していくんだよ。
なんで押し付けていくんだよ。

なぁ、なんで。
守らせてくれなかった?



失うまで大切なものだと気づかないなんてよくある話だけれど、どれくらい大人になれば私はあなたの隣を守れたのだろうか



手を離したから終わりがきた
(所詮、私は無力なガキなんだ)

………
アンケートより